その日は朝早くに目が覚めた。
また今日もいつもと変わらぬ一日になると思っていた。
でも、今日は不思議な出会いがあった。
朝食を食べ、制服を着る。
身支度を整えていつもより早く家を出ると、ふわりと吹いた風にスカートが揺れる。そこまでは、ごくごく普通の一日だった。
すると、私がいつも歩く通学路の中に、普段はあまり見ない人影を見つけた。学校から家が近いとはいえ、家の前付近は通学路ではないため、滅多に人はいないはずだ。いるとしても、近所の人や犬の散歩中の人だけだ。
近づいてみるとその人が男の人であること、そして私の学校の制服を着ていることがわかった。同級生ではなさそうな雰囲気だ。
あとすごく身長が高いし、とても年上に見えるので少し怖い。その人の存在は気にはなったが、そのまま横を通り過ぎて学校へ向かうことにした。
いつも通りに授業を受けて、授業中寝ている影山君の姿を見て少し笑った。そして時が過ぎて放課後がやってきた。
まだ陽のある時間帯に家に帰るのは久しぶりな気がする。今日は久しぶりに部活が休みの日だった。毎日練習が続くと体が疲労してしまい、自分の100%の力を出せないことがある。やはりしっかりと休息をとることは必要だろう。とはいいつつも翔陽君や影山君は休息の重要性を知らず、自主練習をしてそうでとても怖い。二人が大人しく休んでいるといいんだけど。
いろいろ考えながら帰っていると、今朝と同じ場所にまた人影を見つけた。
けれどその人は今、空を見上げていた。今度は素通りできなかった。どこか悲しげな表情で空を見つめるこの人が気になる。
『あの…』
彼に近づいたところで足を止めた。
『朝もここにいましたよね、何してたんですか?』
「え、えっ。………俺?」
優しい風が吹いた。
『はい、そうです』
「え、あぁ!その、空が青かったから…」
この人は先輩のハズなのにオドオドした様子。私はつられるように空を見上げた。空はどこまでも水色の空が広がっていた。夏の入道雲が浮かんでいた空とはやはり違う。今日の空はあまりにも青すぎた。
『真夏の空とは、少し違いますよね。でも夏本番はこれからです!』
「あぁ、そ、そうだね」
ものすごく当たり前のことだったが、今は新たな発見をしたような気分だった。私がそう告げると彼は微笑んだように見えた。
人の時間の流れは瞬く間に過ぎていくけれども、こうやって空を見ているときは自分の時間だけが止まっているように感じる。
どうかこんな澄んだ空の日が少しでも長く続きますように。