あ、……また会った。
2、3日前に会ったちょび髭のちょっと怖い人に校内で初めて会った。予想通り彼は年上で、3年生の棟にいて、一人で寂しげな目をしながら外を見つめていた。
思いつめているような、そんな感じだ。
その人が誰なのかは分からない。でも、気になる。
『あの、……』
「……!俺!?」
その人は肩をビクリと揺らして、ビクビクしている。相手の様子を見て、私が物凄く悪いことをしている気分になる。
『大丈夫ですか?』
「な、何が?」
『何か思いつめているようだったので…。す、すみません!余計なお世話ですよね!』
「い、いや…。」
見た目に反して、まだまだオドオドしている目の前の人。私とその人を取り巻く雰囲気は異様だ。ど、どうやってこの場を収めようか…。
「あ、アサヒさん!」
『翔陽君!』
「お前こんなとこで何してるんだ?」
『影山君も…!』
嬉しいことに一年の二人が来てくれた。来てくれたというか、現れたというか。とにかくタイミングが良い!えっ、ちょっと待って。この人はアサヒさんって言うの…?以前に西谷先輩が口に出していた事がある人の名前。"アサヒ"が苗字?名前?
「なんで一緒に練習もした事ない俺が気になるの?今の面子であの青葉城西に勝ったんだろ?西谷も無しで…」
アサヒ先輩もこの二人と面識があるようで、先輩は私が噂に聞いていたバレー部のエースらしい。この人が……。失礼かもしれないが、とてもエースと言える覇気があるとは思えない。
「あっ、アサヒさんが戻ってこないと2・3年生が元気ないから!!ですっ」
「声でけぇよ!」
「フハッ、面白いなお前ら」
『ですよね!』
「何お前まで賛同してんだよ!」
『イタっ!痛いぃ!』
丁度アサヒ先輩と同じ事を思っていると、影山君が私の頬を抓った。だって、二人の会話毎日聞いてても飽きないんだもん。ほんと喧嘩するほど仲がいいを具現化したような二人だ。
「まぁまぁ落ち着けって。君もこいつらの知り合いなの?」
『はい。バレー部のマネージャーをやらせていただいています』
「そっか…。そうだよな…。」
また思いふける仕草を見せた。どうも悩み事があるらしい。何に悩んでいるのか分からないが、私がアサヒさんの中にある不安を取り除いてあげたい。
なんで出会ったばかりの人にそこまでしたいと思うんだろう。
それは多分、彼がまだバレーを好きだと思うから。まだバレーを諦めていないから。
アサヒさんから、どことなくバレーの匂いを感じていたのかもしれない。