ひよこが駆け巡る!





私は今、潔子先輩と夕食を作っている。大抵の人が好きであろうカレーだ。
香ばしい薫りに、食欲をそそられる見た目。潔子先輩と愛の共同作業によって作られた、美味しいカレーが、今、出来上がった。

そして何より私のテンションを上げたのは、潔子先輩のエプロン姿だ。


私は性別上女ですけど、潔子先輩とだったら何処へでも行ける気がする。おっと、これ以上語るのはやめておこう。とにかくシュッとした黒地のエプロンが似合いすぎて困る。夫となった人が毎日拝めるなんて羨ましい。

私はと言うと、家にあったエプロンを持ってきました。それもワンポイントのヒヨコのエプロン。月島君あたりはこのエプロンを見たら笑いそうだ。しかも、似合ってるよ〜、なんて可愛い笑みではなく、やっぱヒヨコじゃんって…、馬鹿にしたような笑いに違いない!想像しただけでゾワァっと寒気がする。


「あぁーーー、疲れたー飯飯ー!」


カレールーをご飯の上に乗せる作業をしていると、次から次へと部員がやってきた。息は正常に戻っていても、汗はそれなりにかいている。また相当ハードな練習をしてきたのだろう。

選手に仕事をさせるわけにはいかないので、自ら率先して動く。この中で今一番動かなきゃいけないのは私だ!皆の分の水を用意して、配っていく。そして盛り付けられた大盛りのカレーを運ぶ。


「めちゃくちゃうまそうだ!これは…、誰が作ったんだ?」
『これは潔子先輩と私が作りました。潔子先輩の心が沢山籠ってます!』
「うぉぉぉ、潔子さん!そしてエンジェルが!?」
「田中、もうエンジェルって言うのやめろ…。聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる」
『美味しく仕上がってると良いんですけど…』


味に関しては心配だ。ちょっとしか味見してないし、辛さの好みは人それぞれだろうし。でも潔子先輩と一緒に作ったんだし、美味しくないはずがない。それに3年生は2年間も合宿してるわけだから、どんな味がきてもきっと大丈夫だろう。


「それじゃあみんな、いただきます」
「「「いただきまーーす」」」

澤村先輩の合図で晩御飯が始まった。みんなお腹がすいていたのか、それとほぼ同時に一斉にかぶりつく。私も一口パクリ。


『(……おぉ!意外と美味しく出来たかも!)』

自分の家の味とは違うが、やはり潔子先輩の手が加わった分、とても美味しく感じる。

「うんめぇ!名前ひゃん、こりぇ、おきゃわりありゅ?」
『うん、いっぱい作ったから一杯食べて〜』
「今のでなんて言ってるか分かったのかよ!」


影山君のツッコミが入る。今、翔陽君は"これ、おかわりある?"と聞いたのだ。私にはちゃんと伝わった。

(相変わらず似てんな、日向と名前ちゃん)
(二人とも感覚で生きてるタイプなんだろうな)

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