翔陽君がものすごい勢いでガッツいているのを見て、私まですごく嬉しくなってきた。一方で影山君は確かにすごい速さで食べてはいるんだけど、ガツガツという印象はない。どことなく上品に見える。
『影山君もいっぱい食べてね!なんて言ったって潔子先輩の心が籠ってますから』
「名前も一緒に作ったんじゃねぇのか?」
『つ、作ったよ。でも潔子先輩の心が籠ってるって言った方がみんないっぱい食べてくれると思って…!』
だって、あの天下の潔子先輩が作ったんですよ!?食べなきゃ損損。そう言いながら私もどんどん食べ進めていく。
「別に、誰が作っても味は変わらないだろ?」
『違うよ、分かってないなぁ!じゃあ明日私が作ったカレーと比較してみるといいよ!明日もカレーか分からないけど、絶対潔子先輩が作ったカレーが美味しい。』
「言ったな?じゃあ明日はお前のカレーだな」
え、これちょっと変な約束しちゃったかも…。影山君はしたり顔。悔しいけど変なことを言ってしまった私が悪い。
『え、でも皆には普通に潔子先輩が作ったカレーだよ?影山君だけ私が作った美味しくないカレーになっちゃうよ』
「別にそれでいい。約束はキッチリ守れよ」
「あぁーー!ズルイぞ影山!俺も名前ちゃんが作ったカレー食べてぇよ!」
『美味しくない!絶対美味しくないから!翔陽君また吐いちゃうかも…』
翔陽君、お願いだからそんな希望の眼差し向けないで……!プ、プレッシャー。
絶対潔子先輩が作ったカレーが美味しい!というか私の都合でそんな個人的に作るなんて出来ません!自分から振っておいてそれはひどい話だが、無理なものは無理だ。
「何の話をしてるんだ?」
そこへ颯爽と菅原先輩の登場!はぁーー、さすが天使様だ!
「明日、こいつが作ったカレーを食うんすよ」
「俺も俺もー!」
『皆さんには普通に潔子先輩が作ったカレーを堪能してもらいますから!安心してください!』
「へぇ、苗字のカレーか…。」
この流れ何故か嫌な予感がする。
「俺も食べてみたいかも…。」
爽やかな笑顔も今じゃ、悪魔の微笑みにしか見えません。カレーを作るのが二度手間になってしまうかもしれない…。どうしようどうしよう!
『わ、分かりました!じゃあカレーじゃなくて、…デザート!デザート作ってきます!』
「デザート…?」
『うんうん!デザート!何がいいかな…。ケーキとかプリンとか、…スイートポテトなんてどうでしょう!』
スイートポテトはただ私が食べたいだけなんだけど…。だって美味しいじゃありませんか!あの甘さといい食感といいたまりませんね。実はお菓子作りが趣味だったりするので、これまでにいろいろなものを作ってきた。
「…僕はケーキでいい。」
『えぇ、月島君も!?』
「悪い?」
『全然全然!』
「ま、ひよこにケーキ作れるとは思えないけど」
『うん!私も心配!』
月島君もノッてくれるとか意外。こういう話を聞いていないかと思った。
実はここ最近、みんなの弁当とか食生活を見てきて、個人個人の好きな食べ物とかちょっと分かってきた気がする。まだ好みが謎な人がいるけど、翔陽君は卵が大好きで、影山君はカレーが好き。そして菅原先輩は辛いものが好きらしい。月島君に関してはまだ謎だけど、さっきケーキって言った限りじゃ甘いものが好きなんだろう。
『じゃあ、明日はケーキ作ってきます』
菅原先輩は、甘い食べ物は得意じゃなさそうなので、甘さを控えたチーズケーキなんてどうだろうか。というか、ケーキを作るのはいつぶりだろう。
母がお菓子づくりが得意なのもあって、私も人並みにお菓子を作ってきた。今までケーキも何度か挑戦したが、あれは相当時間がかかる。それでもみんなの期待に添えるように、頑張って作ってみよう。