いよいよ私にとっての決戦の時が来てしまった。
みんなにケーキを召し上がって頂く時間だ。
みんなが練習している間、夕食の下拵えを潔子先輩と一緒に行う。おかずを何品も作ることができるわけじゃないけど、今日のメインは豪華にハンバーグだ。私が食べたいと呟いたのを聞いた潔子先輩が献立をハンバーグにしてくれた。
先ほどからこねる工程にうつっているのだが、不器用な私はどうしても潔子先輩のように綺麗な形を作ることができない。な、何故……!これが女子力の違い…!?こうして悩んでいる間にも着々と形を作っていく先輩に、追いつけるようにと一生懸命形を作った。
そしてなんとか完成したそれを私が焼いている間に、潔子先輩はソースを作っている。なんて効率のいい。私がソースを作る潔子先輩をチラリと盗み見ると目があった。そして、
「ケーキ、楽しみにしてるね」
何故か潔子先輩にもバレていた。あれ、そんなに大きい会話だっただろうか。
でも、潔子先輩までもが期待してくださっている…!
『あんまり期待しないでください!ケーキちゃんには申し訳ないんですけど、多分美味しくないです』
「そんなことないよ。名前ちゃんが作ったんだから美味しいに決まってる」
完全ノックアウト。潔子先輩は私を喜ばせ、殺す気だ。猛烈に感動している。先輩の期待に応えられるような出来になっていないかもしれないが、これは腹をくくって提供させてもらうしかない。
『潔子先輩……、嬉しいですぅ…!』
私、いつか潔子先輩に萌え殺される。同じ女子として、こんな魅力のある人になりたいとばかり思ってしまう。私の中のNo.1アイドルだ。もちろんトップ独走中。
「あぁー、腹減ったー!」
潔子先輩の素晴らしさを再確認していると、空腹を叫ぶ声が何処からともなくやって来た。
「あ、名前ちゃん!ケーキ!ケーキ!」
うっ、翔陽君声が大きいよう…。一応人数分以上は作ってきたけど、そんなに期待の眼差しを送られると、顔が引き攣ってしまう。よく練習後に甘いものを食べられるなぁ。
『先ずはご飯食べてからにしよ!さ、座って座って!』
「おーーっす!」
私の作ったケーキをあんまり人に見せたくないと言うか、なんというか。やる気と出来は比例してくれなかった。どうしてもお店に並ぶケーキのようにはならなかった。見た目は不恰好だし、味も保証できない。
皆お腹壊すかもしれないし…、不安全く消えない。
どうしようどうしようどうしよう。
皆さん、どうかあまり期待しないでください。