「皆、まだ居るー!?」
今日の練習が終わりそろそろ皆も帰ろうとしていた頃、武田先生が汗をかきながら体育館にやって来た。今日は会議があって部活に来ることができないと言っていたが、こうして練習終わりに顔を出してくれた。
「出ました!!IH予選の組み合せ!!!」
「!!!」
緊張の瞬間だ。トーナメント表を持った武田先生からその紙を受け取った澤村先輩。ものすごい勢いでそのトーナメント表の周りに皆が集まる。私は紙を見ることができる位置にいなかったため、後ろの方から皆の声を頼りにして聞く。潔子先輩も固唾をのんで見守っている。優勝するためにはどんなチームと当たろうとも関係ないが、どのチームと何番目に当たるかということは意外と勝敗に関わってきたりするものだ。
「…1回戦勝てば、…2回戦伊達工も勝ち上がって来れば、当たりますね」
ゾワッ。その名前を聞いた瞬間少しだけだけど鳥肌がたった。まさかアサヒ先輩の因縁の相手がこんなにも早く当たることになるなんて。これはもはや偶然と思えない。
「ソレだけじゃないですよね」
それに続いて月島君がトーナメント表を見ながら冷静に分析をしている。
「うちの区画のシードにいるの青葉城西ですよ」
2度目の鳥肌。何故私たちの区画にはこんなにも強豪校が集まっているのか。恐ろしいにも程がある。しかし、王者である白鳥沢と同じブロックではなかったということが唯一の救いだろうか。
とは言ったものの、このトーナメント表を見て恐ろしいと思っていたのはきっと私だけだろう。
その証拠に翔陽君と影山君の背中がヒシヒシとやる気に溢れている。これはとても試合を楽しみにしている時の反応だ。私もいつまでたってもビビってなんかられない。私もみんなみたいに試合を楽しまなきゃ、チームの雰囲気悪くしてしまうに決まっている。
そう思って、体の前で拳を握って気合を入れる。
「何やってるの」
『気合いれてるの!』
「試合に出ないのに?」
『選手と同じ気持ちでいるのも大事だと思って』
「ふーん…」
月島君はこれ以上何も聞かなかった。少しでも私の気持ちが伝わったのだろうか。すべて理解してくれとは言わない、ただ私はチームのためだったらなんでもする覚悟があるということだけは知っておいてほしい。
「おい、さっき言ったこと忘れて無ぇよな」
「__わかってます。目の前の一戦、絶対に獲ります」
面と向かって烏養コーチにそう言った澤村先輩がいつになく逞しかった。こんなにも頼りがいのある主将が他にいるだろうか。まさにチームの大黒柱と言っても過言はないだろう。
どこまでもついていきます、澤村先輩!