爆笑している二口さんにもう一度謝ってから再び走り出す。
いけないいけない!本来の目的を忘れる所だった。
えっとーそうだ、翔陽君のタオルーー!
外に行こうとすると、今度はなんと青城高校の選手団と出会った。先頭には青城の監督さん、そしてコーチがいる。それに続くように選手の皆さんがゾロゾロと歩いている。ツンツンさんこと岩泉さん、ラッキョ…じゃなくて金田一君に、この間見たばかりの眠そうな人の姿を確認した。
歩いているだけで白と水色の圧迫感。凄いなぁ、カッコいいなぁ。好奇の視線で彼らを見つめていると、眠そうな人と目があった。
「ねぇ金田一、ヒヨコがいる」
「ヒヨコ…?あぁ、苗字のことか?」
『金田一君、久しぶり!あと…えっと』
「国見」
『国見さん!この間はありがとうございました!』
そうか、国見さんと言うのか。今日は試合にもかかわらず、いつにも増して眠そうだ。
『それでは、また!』
今回はテンポ良く別れることができた。さっきは二口さんとおしゃべりしてしまったから、随分時間が経ってしまった。
そして、ようやく翔陽君のタオルを取りに行けると思った矢先、今度はリターンしてきた岩泉さんが後ろから走ってきた。今回の大会のプログラムを確認した所、及川さんが言っている“岩ちゃん”とはどうやら岩泉さんのことらしい。
『あれ、どうしたんですか?忘れ物ですか?』
「まぁそんなもんだ」
岩泉さんの様子からして、どう考えてもただの忘れ物ではないような気がする。だってただ忘れ物を取りに行くだけだったらバレーボールを手に持つ必要がないもの。このボールは多分……。
「ギャァア!及川さぁん!?」
会場の入り口付近で見つけたのは、後頭部に強烈なボールをくらった及川さんだった。そういえばさっきの集団に及川さんがいなかったけど、ファンの女の子たちに囲まれていたからか。
「イタい!何すん、の…、…!」
痛さを目線で伝える及川さんは、岩泉さんを睨んでいる。しかしどうやら岩泉さんの威圧感には勝てなかったらしい。岩泉さんの有無を言わせない表情に、及川さんは小さくなった。岩泉さん恐るべし。
「ゴメン、写真はまた今度ね」
及川さんはファンの方に写真を一緒にとってほしいと頼まれていたようだが、今はそれどころではないだろと言わんばかりの岩泉さんの威圧に、渋々断っていた。まぁ何はともあれ、問題は解決したみたいで何よりだ。それより私は翔陽君の大事な大事なタオルを早く届けなければ!
「ん?もしかしてヒヨコちゃんじゃない?」
どうしましょう。早くタオルを届けなければならないのに、及川さんに捕まってしまいそうです。