翔陽君のタオルを取りに行く途中で出くわした及川さん。
「ねぇちょっと岩ちゃん!ヒヨコちゃんだよ、ヒヨコちゃん!」
「あぁ、そうだな」
テンションの高い及川さんの近くにいる岩泉さんは適当にあしらっているように見える。
『お久しぶりです、及川さん』
「うっわー、久しぶりだね〜。元気してた?」
『もちろんこの通りピンピンです!及川さんも、岩泉さんもお元気そうで何よりです』
「うわ岩ちゃんの心配までしてくれてる!」
「うるせぇボゲ!」
「イダッ…!」
二人の仲良し節が炸裂中だ。相変わらずテンポのいい漫才を見ている気分になる。
というかそれよりもタオル…!というかどれだけ翔陽君を待たせちゃってるんだろう私は。あれから10分は経っただろうか。本来であればとっくに練習会場に戻っている時間帯だ。
「あ、ねえ、ヒヨコちゃんちょっと大きくなった?」
『ほ、本当ですかっ?』
最近そんな事を言われる事が少なくなかったから少し驚いた。小さい小さいと言われ続けてきたから、本当に私は小さいのだとショックを受けることが多々あった。
「うん、もうちょっと小さかったイメージあったんだけど」
『そう言ってもらえるととても嬉しいです!』
それは身長的に?それとも精神的に一回り大きくなったってこと?いずれにせよ何かが大きくなったように見えることには変わりないのだろう。
『あ、あの、今急いで行かなければならない所があるので…失礼しますっ!』
「もうちょっと話していこうよー。お兄ちゃん悲しいよ〜」
「いちいちてめぇの都合に合わせてらんねぇんだよ!それ位分かれクズ川!」
「なにもそこまで言わなくてもいいじゃないか〜。岩ちゃんのケチ〜」
「うるせぇ黙れ。早く行くぞ」
岩泉さんは常識人だ。こういう人が一人二人いるだけで助かる。というかツッコミの癖が少し影山君に似ている気がする。
勿論もうちょっとお話をしたいと言う気持ちもあったけど、今は自分のチームを優先したい。
『及川さんさえ良ければ、次に会った時沢山お話をしてください〜!それでは』
私はようやく彼らに背を向けて走り出した。
「あ、次会った時は及川さんじゃなくて"お兄ちゃん"でヨロシク!なんなら徹お兄ちゃんでもいいけど」
「本当お前ウザい。ウザ川」
『ウ、ウザ川…!』
クズ川とかウザ川とかまだまだレパートリーは沢山ありそう。
(いや〜、本当ヒヨコちゃんの成長っぷりには驚いたね)
(そんなに変わってたか?)
(うん、ちゃんと大きくなってた※意味深)
(お前本当にクズだな)