「烏野のさ、小さい10番ヤバくなかった?速攻バンバン決めてさ」
「うん、あの身長なのになー!!」
他校の選手たちが通り過ぎ際に放った言葉。その言葉を聞いて眉を顰める伊達工の選手たち。一方では…___。
「凄かったなァ、烏野」
「とくにあの小さい10番にはビビった!」
「あーだよなー!」
翔陽君の事を沢山の人が褒めている。なんだか私まで嬉しくなってくる。当の本人は頬をヒクヒクと緩ませて、やはり嬉しそうにしている。
『翔陽君、褒められてるよ!』
「お、おぅ!……なんだよ影山!嬉しくたっていいじゃんか!俺あんな風に言われた事ないし!」
影山君は意味深にニヤリと笑った。してやったりな笑顔に、悪の代官様のような雰囲気を感じた。
「別に何も言ってねぇだろ。お前が注目されんのは良い事じゃねぇか」
どうやら影山君は翔陽君に憎まれ口を叩きたいわけではなかったみたい。翔陽君が噂されているのが影山君も嬉しいらしい。
「相手がお前に注目して警戒すればする程お前は本領を発揮する」
『………なんかカッコいい!』
「おお…!よくわかんないけどとりあえずお前の笑顔こわい」
『う、うん。ちょっとだけ怖かった』
翔陽君が私が思っていたことをソックリそのまま言ってくれた。ちょっと言うのを躊躇っていた部分があったから助かった。影山君のしたり顏は妙な威圧がある。そういえば影山君の心からの笑顔って見たことない気がする。翔陽君はいつも太陽みたいに笑うから、常に笑っているイメージが強いけど、影山君が笑っているところはあまり見かけない。
「いだだだっ!」
『ほぎゃっ!いだい〜…!』
そのまま無言で私と翔陽君の頭を鷲掴みにして、ギリギリと力を強めていった。仮にも女の子なのに、この仕打ちは酷い。影山君は今まで女の子の扱いをどうしてきたんだろう。いや、でも勿論潔子先輩にはやらないし、結局は私影山君に女の子だと思われていないのかもしれない。
『いだいいだい!!』
「離せ!影山!!」
「人がせっかく誉めてやってるのに、怖いって何だよ!!」
『ごめんー、ごめんって〜』
頭がもげそうだ。そろそろ本当に限界だ。
「そこらでやめてやってくれ。まあ、影山の言う通りだな」
「コーチ!」
あぁ、なんて救世主。影山君は私たちが抵抗してもやめてくれなかったのに烏養コーチの一言ですぐにやめてくれた。
「とにかく"あの小っこい10番スゲー!!"な空気を作る!!それが大きくなればなる程…日向が光れば光るほど相手のブロックは目がくらむのさ」
先ほどの初戦は烏養コーチも納得のいく内容だったらしい。確かに周りを圧倒するには十分な試合内容だったと思う。
「_____で、二回戦のスターティングは……一回戦と同じで行く」
「『!!』」
突然の言葉に私は一瞬固まった。自分が固まった理由は私だけが知っている。