やはりみんな会場の雰囲気、伊達工の応援に圧倒されている。それもそのはず、2、3年生は三ヶ月前にストレートで負けた相手との再戦だ。一年生も一試合終えたとはいえ、大会初日とあって緊張は解れない部分もあるだろう。
このテンションのまま試合をしたら相手に全て飲み込まれてしまいそうだ。
「ん、ローリングッ!!」
大きな伊達工の応援に負けず劣らず、一際威勢の良い声が響き渡った。
「サンダァァッアゲインッ!」
その声の主には当然のことながら視線が集中する。キレッキレな声とキレッキレなレシーブ。そしてもちろんキレキレな技名に憧れを抱く。西谷先輩の漢前な行動のおかげで、雰囲気は一気に烏野一色に染め上げられた。その証拠に伊達工の選手でさえも、驚きのあまり西谷先輩を見ている。
「よっしゃあ!!心配することなんか何も無ぇ!!皆前だけ見てけよォ!!背中は俺が護ってやるぜ」
かっ…………かっこいいーーーーー!!
その言葉に刺激を受けた選手の皆さんは、どこかホッとしたような表情に変わっていた。空気がいつもの感じに戻ったのが分かった。
何度も言うが、西谷先輩の華麗なローリングサンダーアゲインも決まったおかげで、一気に士気が上がった。
正直言って会場の雰囲気に飲み込まれていた所もあったから、突然の西谷先輩漢前な行動と発言には尊敬せざるを得ない。西谷先輩は男の中の男と言っても過言ではない。
いつも恥じることのない、堂々とした行動にはみんなが助けられている。私も少なからず元気をもらえる行動だ。
…あれ?
そんなかっこいい西谷先輩を目で追っていると、足元にはボールの感触があった。
「………。」
『あ、伊達工さんのボールですか?』
それは相手コートから転がってきたボールで、そのボールは厳つい顔をした伊達工の7番さんが取りに来た。髪の色と目つきが、怖い……!その人は私の問いにコクリと頷いたので、ボールを返した。するとまたペコリと礼をされたので、私も返した。
確かこの人、さっきアサヒ先輩に指を指してた人…だよね。少し怖いという気持ちは変わらないが、やっぱり悪い人ではなさそうだ。そういえば私、あの人の声聞いたことないな。
私はいつか彼の声を聞いてみたいと、心の中で思ったのだった。