伊達工との試合は無事に勝って、残りの時間は明日戦うであろう青葉城西の試合を見ることになった。
キチンと観客席に座って静かに観戦する。隣の席には西谷先輩と月島君だ。部内で一番小さい人と大きい人に囲まれた。とはいえ、西谷先輩はその存在感から、まったくその身長の小ささを感じない。常に堂々と構えているから、彼の存在はとても大きく映るのだろう。
『…及川さん、サーブ凄く上手いですね』
「そうだな!あぁ、俺もサーブ受けてみてー!」
『西谷先輩だったら絶対とれますよ!』
「ありがとうな!うおぉー、早く試合してぇ!」
西谷先輩は目の前で拳を握っていた。メラメラと熱気とやる気が伝わってくる。西谷先輩ほどのリベロなら、あの殺人的サーブも本当に受けられちゃうのではないだろうか。試合や練習で西谷先輩がサーブを受け損なったところを、あまり見たことがなかった。
『うわー、岩泉さんと及川さん息ピッタリ…!』
「及川さんと岩泉さんは小学校のクラブチームから一緒らしい。阿吽の呼吸…ってやつだ」
『影山君阿吽の呼吸って言葉、知ってるの!?』
「うるせーよ!どんだけ俺のこと馬鹿にしてんだよ!」
観客席の後ろから声が聞こえてきたかと思えば、影山君が難しい言葉を言い放った。そりゃ阿吽の呼吸くらいは知ってるか。影山君を見くびってたよ!毎度毎度失礼だな影山君に。
というかどうりで及川さんと岩泉さんの息が普段からピッタリなわけだ。きっと二人は特別な絆で結ばれているのだろう。
及川さんがセッターとして試合に出ている所を初めて見た。これは烏野にとって脅威になるんだとすぐに分かった。普段はニコニコ笑っているような人だけど、試合になった時の集中力が人並みではない。
あんな凄い人と一緒に試合………。
なにも青葉城西は及川さんだけではない。金田一君だって岩泉さんだって、よく分からないけど国見君だっている。他にも名前は知らないが上手い人はたくさんいる。
お互い練習試合をしてしまっているわけだから、相手の素性はすでに把握済みのはずだ。一筋縄ではいかない試合展開になるだろう。
変人速攻という名の、影山君と翔陽君のスーパーコンビネーションも効かなくなるだろうし、何かしらの対策を練ってくると思う。
だけど、練習試合の時にいなかった西谷先輩だってアサヒ先輩だって今回はいる。戦力の揃った烏野だってけして弱くはない!今の烏野は最強だ。
これまでしてきた練習は嘘をつかない。絶対に勝てる!私は先ほどの西谷先輩のように拳をギュッと握った。