ひよこが駆け巡る!





『谷地ちゃんかぁ…可愛かったなぁ。ね!山口君』
「え、あぁ。う、うん」
「へぇ山口ってあんなのがタイプなんだ」

あんなのって…。あんなに可愛いのにあんなのって…!

月島君は見る目がないなぁ。谷地ちゃんの可愛さは潔子先輩と同じくらい罪なのに。その点、同意してくれた山口君は見る目がありそうだ。。

『じゃあ月島君はどういう子がタイプなの?』
「…ひよこみたいな子とか」

…え?ヒヨコ?わ、私の事かな?月島くんがいうヒヨコって私しかいないよね。ヒャー……。

「え、何。もしかして勘違いしちゃった?僕は黄色いひよこのことを言ったんだけど」

月島君はしてやったりみたいな顔で私を見ていた。どうやら私はからかわれたようだ。
一人でテンパっていたのが恥ずかしくなるほど、顔が熱くなった。なんて恥ずかしい勘違いをしてしまったんだ。

『そりゃ、か、勘違いしちゃうよぉ…』

私はへにゃりと床に座り込んだ。あはは、なんだいつもの月島君の冗談か〜。ちょっと残念だなぁ。少なからず嫌われてないんだなって考えたら嬉しくなってしまった。

『嬉しかったんだよ?ちょっとだけ』


最初は冗談だとは思わなかった。でも今度からちゃんと考えなきゃなぁ。でも信じたい嘘だった。

「…じゃあヒヨコってことにしておいてあげるよ」
『そんな、無理しなくていいんだよ!』
「別に無理してるわけじゃないし」
『月島君なんかごめんね…。』

もし月島君に好きな子とかいたら、申し訳ない事しちゃった…!あぁー、馬鹿!馬鹿だよー私…。変な勘違いをして、月島君を困らせてしまった。

「…はぁ」

月島君は呆れたように小さなため息をこぼした。

これは、もしや、嫌われ道まっしぐら…!?どうしよう、……どうしよう嫌われちゃったら。最近は少し仲良くなれたかなって感じてたから、今嫌われるのは非常に痛い。


「もうこの話は終わりでいいでしょ」
『うん、本当にごめん!』

「ひよこが謝る必要ない。それに僕自身嘘はついてないし」
『…嘘、ついてない?』
「あぁ、もう黙ってて。」


ん?月島君、若干顔が強張ってるような…。そりゃもう大激怒ってことですか!?

でも、……嘘ついてないって事は…まさかね…。そんな事あるはずないし!もう月島君の発言の何を信じればいいのか分からない。

前 |90/226| 次