初めての記念日


きっと今日は二人の重大な記念日になる。

「翔君、これはなんて言うの?」
 
翔君の家に来ている私が渡されたのは、白いプラスチックのようなもの。初めて見る道具に緊張感を覚える。


「これか?これはピアッサーって言って、まぁ簡単に言えばピアスをつける道具だな。名前は見たことないのか?」
「うん、今まで見たこと無かった。」


これがピアスをつける道具………。本音を言えば耳に穴を開けるのは怖いけど、翔君とお揃いにするためだ、怖がってなんかられない。

「…………本当にいいのか?」


翔君の瞳には不安の色を滲ませている。きっと初めてピアスをつける私を心配してくれてるんだと思う。どこまでも優しい人だ。


「うん。お願いします…。」
「行くぞ……。」


どうしても自分でピアスを付けられるような度胸がないので、翔君に全部お願いすることにした。


まずは耳を消毒する。
ピアスホールの位置は翔君が決めて、黒っぽいマーカーで耳に小さくほくろのような印をつけた。そして緊張した面持ちで、ピアッサーを持ち上げた。

ピアッサーを持つ手は心無しか震えている。いくら翔君だって他人の耳ピアスをつけることはしたことがないだろう。きっと彼も不安なんだ。


「いくぞ……。」
「うん。」


私は目を瞑る。すると冷たい金属の感触が耳を伝う。すると大きい音と共に一瞬で耳は重くなった。


「あれ、以外と痛くないね…。」
「…あったり前だろ?なんたって俺様がやったんだからな!」

彼の自信はどこから来るのか分からないけど、どうやら成功したみたいで。緊張で固まった体がふにゃりと力をなくした。


「ありがとう、翔君」


お礼を言うと、翔君は綺麗に笑ってピースをして見せた。
すると、翔君が左手で私の頬に触れお互いに唇が重なる。同時に、急激に耳が熱くなる。

これはピアスを開けたばかりの痛みによる熱さなのか、それとも……。

「お前がいきなりピアスつけるって言いだしたの、全部俺の為なんだろ?」

どうやらバレてたみたい。

だって今日は二人のピアス記念日にしたくて。