あの夜の続き
「帰ろうか」
「うん。」
幸せな1日を過ごした。今日は真琴君との久しぶりのデートだったから心も体も嬉しくて。あっという間に過ぎていく時間は楽しかった証拠。それは貴方も同じだといいな。
歩幅は全く合わないけど、真琴君はわざわざ私に合わせてくれた。駅までの道のりもあっという間。電車が来るまであと少し。
「今日はすっごく楽しかった!」
「そっか…。俺も凄く楽しかったよ。」
落ち着いた雰囲気で、私よりも何倍も大人びた真琴君。私がいくら背伸びをしても届くことはない。
上を見上げると、都会の光で霞む空にまばらに散らばる星。遠くて、冷たくて、寂しい。
「また行こうね、真琴君」
「うん。そうだね。」
発車のベルが鳴る。大きな溝を踏み越えれば貴方と私は別の世界に。別れは刻一刻と迫っている。真琴君が綺麗に笑ったから、余計離れたくない。
電車が来るというアナウンスがあって惜しみながら別れを告げる。
「じゃあ、気をつけて」
「うん、今日はありがとう!」
滑り込む電車を横目に名残惜しくて動けない。何時もは此処で別れて、人知れず寂しい思いを抱える。それがまた虚しくて、いっそ真琴君と繋がっちゃえばいいのなんて病んだ事を考えてしまう。
でもそう思うのは私のワガママで、真琴君の本心ではないのだ。
「……またね」
発車のベルが鳴る。乗り遅れないように急いで乗り込んだ。別れが悲しくて早速泣きそうで…。でも涙が流れることはなかった。後ろには温もりが。
気づくと切なく笑った真琴君が電車に同乗していた。
「真琴………君?」
「ごめん、もう少しだけこのままで居させて?」
彼は私の体を包み込むようにして抱いた。私も真琴君の胸板に顔を埋め、小さな腕でキツく抱きしめ返したのだった。
名残惜しいなんて言葉はもう何処かへ吹き飛んだ。