夏の日の出来事


帝光バスケ部レギュラーと、さつきちゃんとは仲良しだと思う。だからこうしてみんな揃って夏祭りに来ている。さつきちゃんは浴衣で来たらしいけど、私はどうだろうか。この女子力の無さ。

「えっ、苗字ちん浴衣じゃないのぉ〜?」
「俺てっきり着てくると思ったっスよ!」

普通に私服で来るという、ある意味で挑戦者である。

そんなこんなでさっそくお店を回ることになったんだけど。当然男の子ばかりで歩幅も違い、歩く速度も違う。下駄で来たさつきちゃんが辛そうだ。恐らく足は悲鳴を上げていることだろう。実は、私はこれが怖くて浴衣を着て来なかったりする。

「さつきちゃんとかき氷買ってきまーす。」

いきなり声をあげれば、みんなの視線はこっちを向く。なんだろうこの威圧感。

「迷子になんなよ。」
「青峰君に言われたくないですー!」
「二人とも気をつけるんだぞ」
「「はい」」
「なんだよ、この俺と赤司との差」

そりゃだって赤司君の言うことは絶対だから。逆らったら何が起こるか知ったこっちゃない。

「さつきちゃん、足大丈夫?」
「え、名前ちゃん気づいてたの?」
「うん!足痛い気持ちすっごく分かるから!あ、そうだ。」

カバンをゴソゴソ漁り、面積の広い絆創膏を取り出した。それをさつきちゃんの履いている下駄の鼻緒の部分に貼る。

「これでちょっとは痛みが和らぐんじゃないかな?」
「ほんとだー、有難う名名前ちゃん!」

さつきちゃんはこのお礼にかき氷を奢ってくれるらしい。最初はいいって言ったんだけどどうしても、と言う言葉に負けてしまった。無事にかき氷を買い終えた私たちは再び彼らの元へ向かう。

「お待たせしましたー」
「かき氷うまそうだな。おい、俺にも一口寄越せ」
「あ、苗字ちんかき氷頂戴〜」

二人して第一声がくれくれ詐欺だ。その点他の人を見習ったらどうなんだ!かき氷を食べた後さつきちゃんと舌を見せあってウフフアハハしたいのに。

「かき氷かぁ…。いいね、僕にも少しくれないか?」
「…今日のラッキーアイテムはイチゴなのだよ。」
「イチゴ味美味しそうですね。」

暑さのせいでみんながかき氷を欲している。ど、どうすれば効率良く皆にあげられるんだろう。かき氷を一掬いしたまま宙で固まってしまう。

「えっと、あーっと…。」
「あ、名前っちの食べてるイチゴ味美味しそうっスね!一口貰うっスよ?」

トイレに行っていたらしい黄瀬君が帰ってきたかと思えば、空中で行き場をなくしたかき氷をパクリと食べてしまった。

「あ、」
「え、……え、なんスかその目は。」

事情を知らない黄瀬君は後でこっ酷い仕打ちを受ける事になる。その後ボロボロになった黄瀬君を介抱してあげたのは言うまでもない。