未来は咲き始め


クラスメートのすすり泣く声が聞こえる。みんなそれぞれの思い出が脳裏をよぎっているのだろう。そしてそれは校歌を歌う事で最高潮に達した。

今日は大切な卒業式。

目から大粒の涙を流しながら泣く子、泣きながらも必死に歌っている子、すでに何を言っているのか分からない子、これもまたみんなそれぞれである。

私たちの卒業式は近年では例を見ないほどの感動的なものだったらしい。生徒会長が泣いたことから全ての感動は始まった。もちろん私も目頭が熱くなる場面が何度もあった。でも、これから先の未来は不安でいっぱいだ。


一番の不安は恋人である森山君と離れ離れになってしまうことだ。


森山君はバスケ部のエースで背丈も高く、肌は色白で、顔もパッチリとした目と鼻筋が綺麗に通っているのが印象的なかなりの美形。それが残念な一言によってすべて台無しになっているのも知っている。そんなところも全部ひっくるめて彼の事は好きだ。

「名前ならここにいると思った。」


ホームルームを終えて私が向かった先は裏庭。そこへ何の迷いもなく来てくれたのは森山君。二人だけの空間に柔らかい風が吹く。

「三年間いろいろあったな。」
『うん…。』

彼の登場に言葉が詰まってうまく話すことができない。一瞬で全てが走馬灯のように駆け巡って脳裏をよぎる。返答の少ない私をよそに森山君は言葉を続ける。


「俺的には名前と出会えたことが一番の思い出だよ。」
 
森山君はくさいセリフを違和感なく言ってのける。でも、やっぱりこういうところもすべて含めて好きなのだからたちが悪い。

そして次セリフを言われた後には涙がとめどなく溢れてきた。


「…だから、これからもずっと、ずっと一緒にいような」
『……もいやま、君…!』
「泣くな、名前。あとなんか早川みたいになってるぞ」
『ふふ…、ごめっ…、』


感動している私を、何のためらいもなく笑わせるのが森山君。この温度差が気持ちいい。


「森山由孝は苗字名前の事が大好きです。」
『苗字名前も森山由孝の事が大好きです。』

周りから見ればだだのバカップルだろう。だけどそれでも構わない、彼と一緒ならなんにだってなれる。そんな気がする。

この三年間は私の知らない森山君をたくさん見ることができた。これからはずっと森山君を隣で見ていきたい。心からそう思う。

そう考えれば三年間なんてとても短い期間だった。それでも私にとっては忘れ難き3年間。

だって、貴方と出会えたのだから。