ミルクとパンケーキ
「みんなで、お茶しませんか?」
と提案してくれたのは紅玉ちゃんだった。
最近場の空気が張り詰めていたので、場を和ませるためには丁度いい機会だったと思う。
参加するメンバーはハッキリとしていないけど、ジュダルや紅覇君が来ることは確定しているので、リンゴや甘いスウィーツは用意しておかなければならない。
そして、私と紅玉ちゃんがお茶会をするということは間違いなく大量のケーキが必要になるだろう。私や紅玉ちゃんだってこう見えても年頃の女の子。こういう機会が何度かあっていいと思う。
「紅玉ちゃん、…その、お茶会開いてくれてありがとう」
「…な、な、なに?急に。」
異常な吃り様にフッと笑ってしまった。あからさまに目が泳いでいる。
「なんか無性に感謝したくなって」
「べ、別にいいわよ…!」
紅玉ちゃんは艶やかな髪色のように顔を真っ赤にして照れているのが分かった。そんな紅玉ちゃんが妹のようで、可愛くて思わず抱きしめた。
「何するの!」
「可愛いね、紅玉ちゃんは」
「………!」
彼女はキョトンとしたあと、これ以上赤くなれないほどにボッと頬を赤く染めあげた。あとどのくらい顔を赤くする事が出来るのだろうか。
紅玉ちゃんは第八皇女にも関わらず、誰一人差別することのない優しい心の持ち主だ。そんな彼女だからこそ悩むことは多くて、人の気持ちの浮き沈みは誰よりも理解していると思う。
幼い頃から苦労してきた彼女が今こうしていられるのは、誰のおかげなんだろうと考えた時に真っ先に思い浮かんだのは賈黄文さんだった。
すると、紅玉ちゃんは無言で急に私と視線を合わせた。
「紅玉ちゃん…、どうしたの?」
しばらく紅玉ちゃんは恥ずかしくなるほど私を見つめると、微かに口を尖らせてまた視線を泳がせた。
紅玉ちゃんのその愛しい表情を見ると、私はあなたの全てを受け入れたい。とそう思える。それはもちろん友人としても、兄弟のような存在としても私が紅玉ちゃんを大切に想っているからだ。
「貴方も…、十分可愛いわ」
赤く色付く紅茶に真っ白な角砂糖が言葉と共に溶けてゆく。
砂糖の甘さの幸せに浸っていて忘れていた友人の大切さ。
私の思いが目の前のパンケーキから出る湯気とかぶっていて、まるでミルクの中に溶けてゆくようだった。
ミルクはいつでも貴方色に染め上げることができるから。
ミルクとパンケーキの関係のようにいつしか彼女にとって、私が特別な存在になることを信じて。