いつだって1番


付き合い始めたのは確か1年くらい前。

最初はお互い緊張しっぱなしで、メールひとつ送るだけでも内容に悩んでいつも携帯とにらめっこをしていた。

初めて「名前」と、呼び捨てで呼んでくれた時は顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけど、ものすごく嬉しかったのを今でも覚えている。

初めて真琴君の家へ行った時、どこに座ったらいいか分からなくて隅っこにちょこんと座ったら真琴に笑われた。こっちにおいでと優しく誘われて、恐る恐るそばに行った。あと、真琴君の双子の妹と弟が部屋に遊びに来て一緒に遊んだ。

初めて手を繋いだ時、名前の大きな手がすごく温かくて私の冷たい手も温かくなった。ぎこちなかった繋ぎ方も今はもう恋人同士でそのもの。

初めてキスをした時、緊張して震える私の手を握ってくれて、優しく頭を撫でてくれた。初めての事ばかりでおっかなびっくりな日々も一年も経てば慣れたもので、今では真琴君の前で緊張する事はほとんど無い。

でもね、不安なことはいっぱいあるんだよ。

真琴君は自分では分からないだろうけど、凄くモテる。
きっと私と居てもつまらないから、最近はキスもしてくれないんだ。

もしかして、私だけが真琴君の事を好きで、真琴君は私の事もう好きではないのかもしれない。

一年経った今、そんなことを考えることが最近多くなった。

こんなことを考えていたらなんだか悲しくなってきて、目が潤み始めてきた。

「どうしたの…?名前?」
「……ううん!なんでもないよ」

誤魔化そうとしても、優しい真琴君は心配してくれるんだろうな…。

「ねぇ、名前。顔を見せて。」
「……。」

今にもこぼれそうになっていた涙が目を閉じたと同時に、頬を伝って流れた。こんな酷い顔見せたくない。

「俺のこと好きなら、ちゃんとこっち見て。」

真琴君の事は好き。大好き。だから、私はゆっくりと顔を真琴君の方へ向ける。

「俺、女心は良く分からないけど、今名前を悲しませてるのは俺が原因だって分かるよ?」


真琴君は、はにかんでから前かがみになる。片手は私の頬に添えられ、もう片方は腰に添えられている。この行動が何の意味を為すかは容易に想像できる。羞恥に耐えられるように目を瞑り、それを待つ。

一瞬で軽くふれあい、私の唇に暖かみを残したそれは甘く感じた。

「不安にさせてごめん。俺が好きなのは名前、ただ一人だけだから。」
「………私、本当に真琴君大好き。」

いつだって、私の一番は真琴君だけ。