好きなのは貴方も同じ


校舎とは別の、町外れにある市民プール。

最近できて新しい建物だから屋根があるが、外は太陽に近い分だけこの空間はジリジリと蒸し暑くて、毎度、自然の偉大な力を思い知らされる気分だ。

そこへ私と凛君は、休日デートということでプールにやってきた。休日ということもあってやはり人はそれなりにいて、かといって激混みという程でもない。この大きなプールを使うことに変わりはない。

着替えを素早くすませて中で待っている凛君の姿を探す。彼は目立つのですぐに見つかった。私は彼の言いつけ通りにタオルを巻いて中へやってきた。彼なりに独占欲をもっていてくれてるのかなぁ、と思ったりして。私の寸胴な体をみても全然楽しくないのに。


「ったく、おせーな」
「ごめん、遅くなっちゃった…!」
「早く行くぞ」
「やったーー!」

私は人並みに泳ぐことはできるが、凛君ほど天才的に上手いわけではない。というか凛君が上手すぎるのだ。一度だけ大会を見に行ったことがあるが、それはもう鮫みたいに鋭くて素早い泳ぎで、私を魅了した。


「…ええと、その、心の準備が…………」

シャワーを浴びた後凛君は戸惑うことなくプールへと身を沈める。水慣れしてる体は程よく筋肉がつき、真っ直ぐ見ていられない。足の先をいれただけで冷たさに身震いし、振り返った。

「ほら、来いよ」


私に向かって片手を差し出す。一瞬手を伸ばし、躊躇し、もう一度伸ばし、凛君の手を掴んだ。
彼はゆっくりと私を引き寄せて水の中へ引き入れる。腰まで浸かる。私は僅かに身震いした。

「お前、柔けぇな…」
「何、太ってるってこと…?」
「ちげーよ!抱き心地がいいってことだろーが」


そう言われてしまえば何と返していいか分からない。恥ずかしさで周りの水が沸騰してお湯になってしまいそう。


「…凛君の筋肉も好き」
「筋肉だけか?」
「……凛君も好き!」


短い水着から伸びた足には一片の贅肉もなくて、ガチガチに引き締まってる。水の上からでは分からないが多分腹筋もバッキバキなんだろう。そんな体に真っ正面から抱きしめられている心臓の鼓動はどうやら暫く収まりそうにありません。



単語
プール、恋人