真意はどうなの?


この二人に泳ぎ方をお願いしたのがまずかった。
カナヅチなのが悪いのかもしれないけど。


「名前には俺が教える」


「ハルが教えたがるなんて珍しいね」


「…いいだろ、別に」



最初は和やかなムードだった。私は二人に教えてもらえればそれで良かったのに。



「でも名前には俺が教えるよ」


マコちゃんが兵器の笑顔で言い放った。
いつのまにかどちらかがマンツーマンで教えるという話になってしまった。


どうしてこうなった!!


今月末にプールの授業があるからそれまでにはカナヅチを克服したいと思ってただけなのに。だから、泳ぎの上手い二人にお願いしただけなのに。



二人の雰囲気に圧倒されて口を出すことができない。



「おい、行くぞ名前。」


ハルちゃんが私の腕を引っ張っている。


「駄目だよハル。名前は俺と行くんだ」


マコちゃんが笑顔で反対の手を引っ張った。
二人とも力が強い…体がちぎれますってば!


「あ、あの…。」


「なんだ」
「なに?」

二人が見事にハモった。そこらへんはやっぱり仲がいいんだなーと思っちゃったりして。なんて言ったって幼馴染ですものね。


「私、クロールができるようになりたいな…なんて」


沈黙。気まずいです。
二人が驚いたような顔で私の顔を凝視している。
うぅ、なんかまずいこといいました?


「…それじゃあ、俺だな」


ハルちゃんは私の手を引っ張った。えっ?なんでハルちゃんが?もしかしてハルちゃんはクロール専門なの…?


だったらマコちゃん、本当にごめんね。
これではマコちゃんに失礼なことをしたことになってしまうのでちゃんと言わなきゃ。



「マコちゃん、また今度教えてもらえるかな?」


「…、ハハッ名前には叶わないなー。うん、また今度。」



これで一件落着?
と思っていたのも束の間、ハルちゃんが肩を叩いたかと思えば近づいてきて、


「あんまり、真琴を見るな」


ハルちゃんが耳元で言った。吐息がくすぐったいので肩を強張らせた。


「えっ、どうして?」

「お前は俺を見てればいい。」



ハルちゃんに告白まがいの事を言われて赤面しないわけがない。
その顔は、いつものように無表情だったので言葉の真意は分からないけど。


その時、蝉の声がより一層大きく聞こえた。