思春期を掬って欲しくて


あなたの瞳には、いつも私以外の人が映ってる。詳しくいえば人ではないのだけれど。

彼がいつも虜になっているのはいつも水、即ち泳ぐことだった。それさえあれば生きていけるように彼の体は出来上がっているのだ。

私の想いは、どう足掻いても届かない。

彼は寡黙な人だから、会話はほとんど生まれないのに、一緒にいるだけで安心できる。不思議と私を満たしてくれる。遺伝子が異なった人同士が惹かれあうと言うけれど、まさしくそうなんじゃないかってくらい、彼を目で追っている。

そんな彼の瞳に映るのはいつも水、水、水時々鯖。

私はいつもそう。
たった二文字を言うだけなのにこんなに苦しんでる。

余計な話ならベラベラ喋れるんだけど、大切な話になると口が上手く動かなくなって、言えないまま。

告白なんて一般人の私からしてみれば、一生の内にそう何度もするものじゃないと思う。

言いたいのに言えない辛さ。吐きそうになるくらいの緊張と鼓動。
できるなら、あまりたくさんは体験したくない。

本当の告白の時には、慎重に言葉を選んで誠意を込めて、相手に伝えるべきなんだと思う。自分の想いを伝えるのは容易じゃなくても、一生懸命言えばきっと伝わるはずだから。

大切な言葉を大切な人に告げる時きっと人は成長するんだと思う。それだけできっと大きくなれるんだろう。

誰よりも彼のことが。そして他の誰でもない彼のことがもうどうしようもないくらいに好きで。
彼が、彼だけが、すきでスキで大好きで。彼を『好き』という気持ちだけで、この胸など簡単に壊れてしまえるくらいに。

けれど思うばかりでは意味をなさない。
だからちゃんと言わなきゃ…彼には伝わらない。

『好き』という言葉に込められた、好きという単純な言葉だけではあらわせない感情の全てを。
やわらかに歌うように優しく囁くから。


「……好きです、七瀬君」

あなたへと溢れんばかりのこの想いを愛情という名にかえて。

「………悪い…」

あぁ、やっぱりだめか。彼は水のことしかみてないから…。

「少し、驚いた……」

その頬の赤さ、照れ臭そうな表情、恥じらうように漏れた言葉。
…そんな反応されて…私、自惚れちゃってもいいんですか?

「俺で、…いいのか」

彼を彼として構成する彼のすべてが愛おしくてたまらない。何もかもを手に入れたいのだと心が躰が叫んでやまない。

「もちろんです…!」

単語
切甘、告白