大切なのは想う心


夕君とは中学校の頃からの付き合いだった。彼は良くも悪くも昔からちっとも変わっていない。

変わらなくて良かったと思うのは例えばあの男気溢れる性格とか。でも彼のコンプレックスである身長はあまり伸びなかったようだ。

西谷夕という人物の外見を軽く語るとしたら、まず一番最初に目立つのはあの髪型だ。面白いほどに逆毛だった髪型には初対面の人は驚かずにはいられなかった。まぁはっきり言って髪型で身長を大きく見せてるようなものだろう。

少なからず私よりは身長が大きいので何の問題もないんだけど…。

「キスするのに丁度いい身長差って、知ってる?」

友人の問いに、私は必死に考えたふりをして

「分からない!」

とおどけたように答えた。と言うか本当に知らないんだなー、これが。

「15センチなんですって」
「へえ…。」

15cm。そんな身長差は私たちにはない。背が低いことを気にしてる彼。こんなこと言ったらどんな反応をするんだろう。

「……って友達が言ってたの。どう思う?」
「どう思うって……」

昼の友人との会話をさっそく夕君に伝えてみた。話す度口から漏れる白い息など気にせず話を続ける。んー、今日は特別冷え込むなぁ。

「べつに身長なんて関係ねぇだろ!」

漢前な発言には毎度度肝を抜かされるというか。とにかくそんな夕君が好きで、こんなことで悩んでいた私がバカだと思ってしまうほどに、夕君の発言には助けられる。言葉を発してもらう度自分の考えも前向きになっていくのが分かってしまう。

「やっぱり、そうだよね!あーー、スッキリしたー」

だいたい夕君がこんなこと気にしない人だって分かってたことじゃない。

「………、お前がんな事言うから…したくなった」
「うん?」
「…していいか?」
「……はい」

夕君は私の肩に手をおいて、静かにキスをした。巻いていたマフラーが度々肌に当たって擽ったい。

なんで15cmも必要なんだろう。こんなに近い目線の方がずっとドキドキするのに。ずっと体を自然にしたままキスができるのに。とそう思った。


単語
同級生、カップル