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奇跡の恋愛前線
目を覚ますとそこは白い世界。

息苦しくなってもぞもぞと体を動かすと顔にあった何かがふわりとすり抜けた。その瞬間、あり得ないはずなのに生きた心地がした。

ゆっくりと当たりを見渡すと、そこには見たことがある風景が広がっていた。それもつい最近の出来事。

ここは………病院?

混乱し始める脳に理解が追いついてこない。私は天使になるんじゃなかったの?

『リリル…、一体どういうこと?』

リリル。

それはさっきまで一緒にいた天使の少女の名前。名前をボソリと呟くと、何処からともなく現れたリリル。少女の体自体は、薄くなっていてはっきり見えなくなっている。

"私の力で、貴方を人間にしました。"
『でも、記憶は……?』
"最大限の力を使って、皆様の記憶を一切消さないようにしたんです"

リリルが…、そんな事を?ようやく目を覚ました頭に、リリルがしてくれたことの偉大さが身に沁みる。

"本当はしてはいけないらしいのですが、貴方の想いが私を変えてくれました。

貴方の想いで、私の心が強く動かされたんです。
自分よりも他人を大切にする気持ち。

誰かを愛するという気持ちが伝わってきました。"

穏やかな心優しい笑顔が、私の心の傷を全て癒していった。天使はこんなにも温かく包み込んでくれるんだ。


"そして何より、貴方の事を思ってくださる人がこんなにもいるんです。それを忘れないで…絶対、また幸せになってください。"

『ありがとうリリル…!本当にありがとう…!』

少女の綺麗な笑みに、どの位流したか分からない涙がまたポロリポロリと溢れてくる。それでも私は自然に笑えていた。これも、全部全部リリルのおかげ。どれだけ感謝してもし足りないくらい。

"それではどうかお元気で。また何処かでお会いしましょう。"

リリルは私の心に大きな安らぎの羽を残して飛び立った。その姿は、私が今まで見てきた何よりも美しかった。彼女が私に教えてくれたことは沢山ある。いないと思っていた天使の存在や、人を愛することの難しさ、そして大切さを。


「あれ…、なにかしらこの羽…?」


部屋に入ってきた看護師さんは部屋に散らばる羽を見て目を見開いていた。そして、羽に向いていた目線を私に移した瞬間、更に驚いていた。無理もない。死んだはずの私が今こうして目を覚ましているのだから。

「苗字さん………!え、苗字さんなの?」
「奇跡だ…!」

どうやら私は本当に人間に戻ったようだ。


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