瞳に隠れた甘い欲情
もともと人見知りな私。クラス替えしたときに、前も後ろも右の人も男子でどうしようかと考えていると、真琴君が優しくよろしくねと笑顔で声をかけてくれた。


とても困っていた頃だったけど、真琴君が優しく声をかけてくれたお陰で、黒板と向き合うことしか出来なかったあたしの世界を広げてくれたのだ。それ以来、私の世界を広げてくれた真琴君に片思いをしている。些細なことで好きになったかもしれないけど、あの優しさに助けらことには変わりない。


と言っても、今はただ隣でチラリと彼を見つめるだけで精一杯なのだけど。だから、朝に挨拶をするのにはかなりの勇気がいる。


それに、彼は誰にでも優しいから他に真琴君の事を好きな子はいっぱいいるだろう。つまりは私はその中の一人というわけだ。


真琴君は毎朝一番後ろの席の遙君の所に行くから、朝のうちは話せないのだけれど。私が学校に来る前に遙君の席に行ってしまうので、一番の挨拶のチャンスを逃してしまうというわけで。そんなこと考えていると、足音が段々とこちらに近づいていることが分かった。真琴君かな?と期待していたら、真琴君の逆隣の男の子が来た。真琴君だと思って緊張して心臓が破裂しそうになっていたけど一安心。

周りの席の人たちとはある程度話せるようになったけど、真琴君とだけは未だに自然に話すことができない。

『おはよう。』
「おぅ、おはよう。」

隣の席の玲斗君は話してみると以外に面白い人だなって分かった。だからこうして緊張せずに話せている。


「昨日のテレビ見たか?」

玲斗君は自分のカバンを机にドスンと置くと、椅子をこちらに向けて話をふられた。


『うん。この前玲斗君に教えてもらった番組が面白かったよ!』
「やっぱりかー!あれは絶対にオススメだったんだよな。お前なら気にいると思った。」


玲斗君はニカっと笑って見せたけど、ちょっと声が大きいよ。と言うのも、玲斗君は顔が整っていて、サッカーが上手いらしい。

いわばイケメンの部類にはいる天才サッカー少年なのだ。(友達から聞いた話だけど)
そんな人が何の変哲もない私に話しかけていたら、女子の視線がこちらに向くわけで。


『(視線が痛い、痛い)』


女子の嫉妬心というものは怖いから、玲斗君とは極力話さないようにしようと思っていたけど話しかけてくれるから。すごく嬉しいこと何だけど、いつ呼び出しをくらうかわからない恐怖に怯えながら話さなければいけない。


「その話俺も混ぜてくれよ。」

頭上からの突然の言葉にビクリと体を震わせた。声の方向を見ると前の席の高雅君がいた。

ちょ、ちょっと待ってください…。

「おう、いいぜー!」
『あは、あはははは』


高雅君も所謂イケメンで、玲斗君と同じサッカー部。正反対の雰囲気を持った二人はかなり仲がいいらしい。

はい、奇跡のダブルブッキング事件が発生しました。

た、助けて、誰か!見えない汗をかきながら痛すぎる視線を浴びていた。もう笑うしかない。

「何の話をしているの?」

すると、心地よい低音ボイスが耳を吹き抜けていった。

『ま、真琴君…!』


まさに天使。このタイミングで来てくれるなんて天使だ。なんて思っているのも束の間、女子の視線は鋭さを増した。

そ、そうだった。そう言えば、真琴君もモテるんだったーーーー!!

「あ、そうだ。苗字さん。今日の放課後って何か用事あったりする?」
「え…。……えーっと多分何もなかったと思うよ」
「あの、今日は雨だし部活がないから…。その、よかったら一緒に帰りませんか、なんて」


頬をかきながらほんのり耳が赤い真琴君。その言葉一回じゃ理解できなくて何回も頭の中で繰り返す。そして、口をパクパクさせながらあたしもやっとその内容を把握する。

体温が急上昇して、どきどきがとまらなくなった。


「ぜ、ぜひ!」

と勢いだけで答えれば、真琴君がまたふわりと柔らかく笑ってくれた。
高雅君と玲斗君は目を見開いて、真琴君の積極性に驚いていたとか。


2013
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