可愛い人よ
私は球技大会当日、結局バレーをすることになった。徹君に勧められたって言うのもあるんだけど、前々からやってみたいと言う気持ちはあった。今から気合十分だ。
それで、徹君が部活後にバレーを教えてくれると言うから、お言葉に甘えることにした。疲れているだろうに私がバレーを上手く出来るように教えてくれるなんて、どれだけ優しいんだろう。これだから女子にモテるんだよ。
でも、バレーを教えてくれるのはとても嬉しいけど、近くに徹君がいるだけで心臓がバクバクしてしまう。それは完璧私が彼を意識しているから。ゆんちゃんに図星を言い当てられてから、自分の気持ちに正直になってみた。
まず、男の人の顔を思い出そうとすると真っ先に思い浮かぶのは徹君。気の合う男子と言ったら徹君。どれをとっても徹君で埋め尽くされる。
勉強しかなかった私が生まれて初めて本気で恋をした。生まれて初めて人を好きになった。
入学式の次の日からずっと、徹君は私のことを気にかけてくれている。
彼は同じ組の全員ともう喋ったみたいだ。だから気にかけているのは、私だけではないようにも思える。でも、毎朝真っ先におはようって言ってくれるし、帰りも私を見つけると一緒に帰ってくれる。
そんな人を好きになるなって方が無理…!
彼と出会う度、早まる鼓動を抑える術はないに等しい。かと言っていきなり不自然に避けるのもおかしいから、あくまで平然を装う。
「こうして、ここでボールを受けるの」
『う、うん…!こ、こうかな?』
「そうそう!上手上手!」
なんて丁寧に教えてくれるんでしょう。今、レシーブの練習をしているんだけど、徹君は手取り足取り、私にでも分かりやすいように教えてくれる。そのおかげである程度のボールは返せるようになり、痛くないように受けることが出来るようになった。
『徹君、今日も本当にありがとう!』
「名前ちゃん呑み込みが早いから教えやすかったよ」
『う、ううん!徹君がバレー上手だし、徹君の教え方がとっても上手だから直ぐ覚えられたよ!だから私の実力じゃなくて徹君のお陰なの!だから徹君に教えて貰ったお陰で球技大会も大丈夫そう…!それにね……』
「わぁー、待った待った!ストップストップ!」
………しまった、しゃべり過ぎた。好きな人が目の前にいるから、いつも以上に饒舌になってしまった。これは相当重症だ。どうしようどうしよう。カッコイイ。
近くにいる彼がカッコよすぎて心臓が破裂しそう。
「それ以上褒められると……その、」
『徹君?』
「ううん!なんでもないー!」
『そ、そっか』
いつものテンションの高い徹君じゃなくて、どこか恥じらいを覚えているような、そんな様子だった。その様子まで可愛いと思ってしまうなんて、私は彼に首ったけなんだなってそう思った。
彼の方は私のことなんてただのクラスメイトで同じ部活の子、くらいにしか思ってないんだろうなぁ。
(名前ちゃん可愛すぎ!)
(うるせぇ)