友人関係


朝早く起きるのにはもう慣れている。確か7歳のときからの習慣だ。

時刻がちょうど5時30分になると、私の身体は目覚ましなしでも勝手に起き上がる。少しボーっとしてから、洗面所に行って顔を洗い、髪を結んで制服を着てから、リビングに朝食を摂りに行く。これでだいたい6時くらいになっている。本当はもう少し寝ていてもいい時間帯だが、目が覚めてしまうのだから仕方がないことだ。

スカートが皺にならないように、慎重に椅子に座る。
これが私の一日の始まり。

そこでようやく意識がはっきりとしてくる。そういえば昨日は入学式で…。

それで委員長になっちゃったんだよなー。そう思い出すとなんとなく学校に行く気がひける。とは言っても入学早々学校を休むわけにもいかないので、渋々学校へと歩みを進める。

ちゃんとみんなをまとめられるだろうか。

私は元々みんなの前に立って喋るのが大の苦手だったような人間だ。特に男の人を前にすると途端に話せなくなってしまう。だから昨日の入学式は緊張で心臓が飛び出るかと思った。でもクラスの委員長の事に関しては、ゆんちゃんがいろいろサポートしてくれるって言うし取り敢えず今は心配はない。

それ以前に私は果たして友達ができるのだろうか。それも男の友達だ。

女の子の友達は昨日で何人かできたから言うことはないけど。男の友達ができるか心配で、心配で。クラスで喋れる男の子が一人いるだけで世界が変わって見えるって何かの雑誌に書いていた気がする…。

これから一年間は同じクラスになる人達だから仲良くなりたいけど、世の中はそんなに上手く事は進まないだろう。ただでさえ、喋るのが上手じゃないのに…!

でも、もし私に男の友達ができるとしたら、それは例えば、クラスで人気者の男子が私に話しかけてくれるとか。そうすれば、その周りにいた男の子も便乗して話しかけてくれるんじゃないかな。

…まさかそんな奇跡みたいなことあるわけないよね。

今はまず、女の子の友達を作ることに専念しないと。何事も小さな一歩からだ。


「あ、おはよー名前ちゃん。」
『お、おはよう。』

こうやってクラスの女の子に挨拶されると、ついつい顔が熱くなってしまう。友達という枠組みの中に存在できているんだと感じることができて嬉しいのだ。

でも自分から話しかけるって事も大事だと思うし、今度は頑張ってみよう。


***

授業は難なくこなして、いよいよ始めての放課後。

どこから湧いてくるか分からないワクワクで、胸がいっぱいだ。放課後といえば、部活で汗水垂らすのも良し。図書室で本を読むも良し。早く家に帰ってゆっくりするのも良しだ。今日は部活動見学期間初日だし、ちょっとくらい部活動の見学でもしに行こうかな。


そう思いたって、一先ずグランドに行ってみる事にした。小学校の時からの親友のゆんちゃんと一緒にだ。部活動はもちろんゆんちゃんと一緒のものにする予定だ。なんでも私を一人にしておくととんでもない事になるかららしい。今までのことを考えれば返す言葉もなかった。

グランドでは陸上部が体操をしていて、周りにはいろいろな種目の道具がおかれていた。陸上部も体を動かしたりするにはいいよね。体を動かすのは好きだけど、けして得意とは言えない運動。運動部に入部するとしたらマネージャーがいいなー。


「名前はマネージャーとかいいんじゃない?サポート上手だし」
『そうかな。ゆんちゃんは運動神経がいいし、運動部に入ったら活躍できそうだよね』
「いや、私は名前と一緒がいいの!」

なんて嬉しい…!私もゆんちゃんと一緒に青春したい。

『あ、ありがとう…、私もゆんちゃんと一緒の部活にしたい』

とまぁ、こんな感じでお互いしばらく照れあった。

でも今日はまだまだ時間があるし、次はそうだな…。

体育館に行ってみよう。遠くで聞こえる吹奏楽部の音楽を聴き流しながら、校舎沿いを歩いていく。すると、小学校の時よりも何倍も大きい体育館が見えた。あの体育館には、恐らく運動部がいるんだろう。

この時の私は、この後運命の出会いがあることを全く予測できていなかった。