想いは一緒


及川side


彼女と付き合い始めてから三日が経った。まるで夢のような日だった。まさかずっと想いつづけてきた女の子と両思いで、付き合うことができるなんて。

「及川ぁ〜。何、お前本気で惚れた子ができたのかよ?」

響介がニヤニヤしながら、俺に近づいてくる。元々同じ小中学出身だったというのと、何故か気があう奴って事で俺たちはそれなりに会話を交わす間柄だった。 それは高校に入ってからも同じだった。俺にとって幼馴染といったら岩ちゃんだけど、腐れ縁といったらこの響介である。


「響介には関係ないデショー。…でも、ちゃんと見つけたよ。本気で惚れた女の子。」
「それって俺の知ってる人?」

いや、知ってるも何も名前ちゃんだし。すぐ近くにはいないけど、中学1年生の時同じクラスだったし、名前ちゃんは委員長だったから覚えていないはずがない。ってか確か響介、名前ちゃんの事可愛いとか言ってなかった?確かに可愛いのは今も変わらないけどお前には渡してやらない。渡す気もさらさらないぞ!

「うん。知ってる人だよ」
「誰だよ、それ!…なーんてな。どうせ苗字さんだろ?」


俺は椅子から転げ落ちそうなくらい驚いた表情を見せる。

うわっ、バレてるし…。一体誰がこんな情報を……。とにかく思い当たる人物を模索する。
…あ。俺は響介から視線をはずすと、そっと友人と何やら楽しそうに話している楠野ちゃんを見た。楠野ちゃんとは名前ちゃんの親友だ。名前ちゃんは、彼女の事は"ゆんちゃん"と言っている。 優愛沙ちゃんと言う女の子だ。

多分、バラしたの楠野ちゃんだ。全く…、でもイヤな気分はしない。名前ちゃんが俺のものだって皆に言えたような気がして。

響介はちょっと考えてから、顔をそっと近くに寄せると耳元で囁いた。

「ま、小、中からの付き合いって事で俺に何かできる事があったら協力してやるよ。でも、お前を本気にさせる苗字さん…計り知れないな」

感心しているのか分からないが頷いている。そりゃ彼女は頭が良くて可愛くて、性格も良くて、悪いところを見つけろという方が無理なくらい素敵な女の子だ。それに、悪いところであってもきっと好きになっちゃうんだろうなぁ。

「もちろん大事にするよ。俺が初めて本気で惚れた女の子だからね」
「あー、はいはい。もう分かったから。 リア充爆発しろ……。」

ん?今なんか怖いこと言わなかった!?絶対気のせいじゃない。

俺にとっての名前ちゃんは誰が見ても可愛くて、そして護ってあげたくなるような子。 そう言ったらただの惚気になるし、更にウザがられるだろうから今回は我慢、我慢。

本当はもっとみんなに言いたい。叫びたいくらい嬉しい出来事だった。絶対大事にする、なんて中学生が言うには少し大人びたセリフだが、それでも構わない。

あぁ、早く彼女に会いたい。まだ放課後までは時間がある。だけど、今はテスト期間で、部活はないから一緒に帰ることができる……。とは思うけど、実は自主練をして帰ろうと思う。幸い、容量は悪くないから、今回のテストは問題ない。家に帰ってさささーっと見直しすればいい点数は取れるだろう。

しかし、自主練をしてから帰るという事を彼女にはまだ伝えていない。なんて言うかは大体想像できる。多分ゆっくり体を休めなきゃダメって入った後に、少しだけだからね、と妥協してくれる。そして俺を監視するのだ。

これまで彼女の監視なしでは乗り越えられなかった場面が沢山あった。俺の体を案じてくれたから、大きな怪我をせずにここまで来た。

主将になってからもずっと俺を見ていてくれた。本当に大切な人。

笑顔も、照れた顔も、心配そうな顔も全部可愛い。そんな彼女の事を思い浮かべながら頬はニヤけるばかり。リア充でもなんとでも呼べ。

俺はそれでいい。