当番制
練習後のちょっとした隙間時間。私は及川君と先ほどの事についての話をしていた。
「最高だったよ!岩ちゃんのなんとも言えない顔が傑作、傑作…!」
及川君はまだ笑いの余韻が残っている様子。
私は穴があったら入りたい気分。だって岩泉君の事を岩太郎だと思っていたなんて、恥ずかしすぎる。あの後、何度彼に謝ったことか。昔やっていたアニメに岩ちゃんというキャラクターがでていて、その子の本名が岩太郎だったのだ。単純に考えた私が一番悪いけど、気持ちを汲み取って欲しい。
確かに自分が岩ちゃんと聞いただけで岩太郎だと決めつけるのは良くない。でも、そんなに笑うことないじゃないかぁ。
『あれは、その…、ごめんなさいっ』
「大丈夫、大丈夫!岩ちゃんはそんな細かいことを気にする男じゃないからさ」
『本当に?』
「ほんと、ほんと!なら本人に聞いてみようか?」
『ううん、ありがとう』
それを聞いて一先ず安心した。ごめん、岩泉君…!何度も謝られても気に障るだけなので、次にあった時で謝るのは最後にしよう。
「一年集合ーー!」
話している途中で呼び出しをくらったので、二人で顔を見合わせてからそちらに向かう。呼び出したのは教育係だと言う二年生の先輩。ゆんちゃんや岩泉君は既に集合していた。
「これから練習後の掃除は当番制にするけど、今からこの曜日の書いた紙をひいてもらうぞ。」
曜日の書いた紙は小さく折られている。この方法を採用した理由は、恐らく皆を公平に且つ均等にメンバーをわけるためだろう。
ここは知り合いと一緒がいいな…!できればゆんちゃんと一緒で。
そう願掛けをしていると、遂に私がくじを引く番。希望の気持ちを持って紙を引く。
引くとそこには月曜日の文字が。
隣で紙を引いたゆんちゃんの紙をチラリと盗み見ると火曜日の文字。私は自分でも分かるほどに眉を下げた。
「名前は何曜日だった?」
『私は月曜日だったよ』
「あぁ、おしい!私は火曜日だった」
結果は分かっていても、改めて聞くともっとガッカリしてしまう。
「全員ひいたな?んじゃ順番に聞いて行くから自分の曜日が来たら手挙げて」
私は月曜日だから必然的に一番最初に手を挙げることになる。
「じゃあ、月曜日」
少し遠慮気味に手を挙げる。と同時に周りを見渡すも、同じ月曜日のメンバーの中で知っている人が一人もいない。ひぇーーー!運が悪い………。
ちなみに私の知り合いは、ゆんちゃんが火曜日、岩泉君が水曜日、及川君が木曜日となった。見事にみんなバラバラだ。
「せ、先輩!俺月曜日は用事があって早く帰らなければいけないんですけど…。」
よそよそしく話す男の子は本来であれば月曜日を担当する人だった。彼は本当に申し訳なさそうに先輩を見ている。
「そうか…。んー、誰かこいつと代わってやれないか?」
「はい、はーい!」
と威勢良く声を出したのは及川君だった。練習後とは思えないほどに元気だ。
「俺が交換しまーす」
「そんじゃ、及川と交換でいいか?」
「はい!及川、ありがとう」
「ぜんぜんイイヨ〜」
及川君とさっきの男の子が交換したことにより、月曜日に及川君が来た。知り合いがいるということが何より心強い。
(やほ〜、名前ちゃん。)
(及川君がいてくれるとなんだか心強いよ!)
(………名前ちゃんってさ。)
(ん?)
(イヤ、なんでもないよ!)