曖昧な誤魔化し方
日曜日。
私は今日は一人で買い物をしにきた。目的の物は学校で使う文房具や、補充しなければいけない日常品など。それはあるショッピングモールに行けばまとめて買えるものだったから、一人でも十分だった。
涼太君とデートする時はいつも彼の方が相当な変装をしてやってくる。その時バレたらどうしようとか思うドキドキやハラハラ感がとてつもなく辛く感じてしまうのだ。だから、今日は一人でのびのびと買い物をしたい。
そしてもう一つ、絶対に一人で来なければいけない理由があった。
実はもう少しで付き合って1年が経つ。
女子は記念日を大切にすると言うけどそれは本当らしい。
実際にその立場に立ってみると記念日というものは忘れられない。だから今日は記念になるのものを探しにきたわけだ。本音を言えば、日常品や文房具なんかよりもそっちを買いに来たっていう方が正しい気もする。
一人で色々な店を回って歩いた。ちょっと歩き疲れた時は立ち止まって空を見上げた。
そうすれば気持ちがいつもより落ち着いていた。
結局私が選んだのは小さな雑貨屋さんで見つけたオルゴール。二人が好きな曲が入っている。綺麗な音色とデザインに一目惚れしてしまった。
オルゴールを渡した時の涼太君の反応を想像するだけで顔がにやける。
私はスキップしたい衝動を抑えながら街の中を歩いていた。
家に帰ろうと駅に向かって歩いていると、見覚えのある黄色い頭と……。
綺麗な女の人が隣り合って歩いているのを発見した。
あの人は、誰?悔しいけどあの二人が並んでいると凄くお似合いだ…。
私が二人を発見したのは駅のすぐ近くで、駅に向かう人たちの人混みで流されて、すぐに見えなくなってしまった。
あれ…もしかしてあの人、今、とても人気があるモデルの人?変装はしているけどオーラとかで分かってしまう。
信じてる。勿論信じてるけど……。やっぱり心配になるよ。
私は先ほどの光景に不安を掻き立てられた。
***
いろいろ考えた末に、直接の声ではなくメールで聞いてみることにした。実際の声ではきっとうまく伝えられないから。
今日は何してた?と簡単に打った。すると予想以上に早く返事が返ってきた。
From 黄瀬涼太
Sub
――――――――――
今日はモデルの撮影だった。
--end--
素っ気ない返事だった。いつもなら顔文字とか飾ってくれるはずなのに。こんな返事が返ってくるって何か後ろめたいことがあるということだろうか。私なんかよりやっぱり綺麗な人と歩きたいんだよね。しかも相手は同じモデルだし。きっと私なんかよりずっとずっと…_。