青春はそよ風に流れて
静かな教室で、本を読んでいた。誰もいないし、涼しい風が通るからページが進む。一冊を読み終える頃に、既に日がくれていた。あのあと、遙君との仲はあまり進展しないまま夏休みが近づいてきた。
私は友達がたくさんできただけで満足をしている。結局は部活に入らなかったけど。部活に入って青春なんてものを味わってみたかったけど、運動があまり得意ではないし、特に入りたい部活というものはなかった。一年生の時はこうしてダラダラと考えているうちに、あっという間にみんなの部活は決まっていた。
だからこうやって放課後は残って図書室から借りてきた本を読んでいるわけだけど。他に部活がない人は、すぐに帰っているらしいけどお構いなしだ。私は意外とこの教室が好きなのかもしれない。ようやく自分の居場所を見つけたような、そんな気がする。
遙君はというと、新しく水泳部を設立して放課後は毎日泳いでいるみたい。
今も、あの汚かったプールを綺麗に磨き上げて練習をしている。そのおかげで、今年からプール授業なんてものがあるらしいけど。
仲間と楽しそうにしている遙君を見て羨ましいなと思った。部活に入っておけばと後悔しているけど、今じゃもう遅いしな…。楽しそうな会話が教室からでも微かに聞こえる。
「ハールちゃん!今日ハルちゃんのお家に行っていい?」
女の子みたいに可愛い子の声が特にこちらまで聞こえてくる。
「好きにしろ」
「やったー、じゃあマコちゃんも行こうよー!」
「あぁ、そうだね。行こうよ、みんなで」
「いいんですか!?」
「おい、真琴…。」
いかにも、青春してます!オーラが出ている。
それにしても、泳いでいる時の遙君は気持ちが良さそうだ。
生き生きとしているというか、なんというか。こっちまで幸せな気分になる。
全身で水を感じているような感じがする。
しかも、遙君はずば抜けて泳ぐのが早い。前にも部活なんかで泳いでいたのだろう。じゃなきゃあんなに早く泳げるはずがない。目を奪われた。
綺麗なフォームで水を掻き上げる。
その水しぶきがとても輝いて見える。
ただ、普通の人が泳いでいるのとはわけが違う。
その泳ぎに憧れた。別に私が泳ぎたいと思ったわけではない。その泳ぎに見惚れてしまった。こんなことあるのだろうか。
その日から、私は毎日放課後には外を見つめていた。
(……。)
(どうしたの?震えて)
(視線を感じる……。)