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凛君はいないけど、水泳部に入部したマコとハルの水泳生活は順調だった。中学で新しい仲間を見つけて、いい関係を築いているように見えた。時々聞こえるプールからの笑い声に、私まで幸せな気持ちにさせてもらった。

そんなある日、ハルが突然水泳部を辞めた。

期待の新星とも謳われた彼の退部はあまりにも急だった。

私の心にはぽっかりと大きな穴ができた。何故ハルが突然部活を辞めたのか、マコにも分からなかった。当然、私になんて分かるはずがなかった。


ハルは誰にも何も言おうとせず、音もたてずに水から離れて行った。あんなに水が大好きだったのに、自分から離れて行くなんて信じられなかった。誰もが予想できなかったことだ。

水泳部の中でも円満だったはず。旭君や郁弥君とも仲良くしていたはずだ。
1年の最初の頃はいざこざがあったかもしれないけど、それを乗り越えてからは順風満帆に進んでいるように見えたのに。分からない。……なんでやめちゃったんだろう。


大好きな泳ぎが、また一つ見ることができなくなった。

私の悲しみは深まるばかりだ。


凛君、ハルが水泳部を辞めちゃったよ?
このことを聞いて凛君はどう思うのかな。…当然悲しむよね。

マコだって、ハルが水泳から離れてからは見たことがないくらい辛そうな表情をしている。マコも私と同じくらいハルの泳ぎが好きだったのに。


水泳を辞めた最近のハルは、なんだかつまらなそう。溜息ばかりついては、水を見つめる。でも私には水泳を辞めた本当の理由を聞くことなんて出来なかった。彼の表情は、余計なことは聞くなと言っていて、いつになっても聞けなかった。


でもさ、やっぱりハルは水が大好きだと思うんだ。だから、もう一度…_、もう一度だけでいいから泳いで欲しい。そうしたらきっとまたあの時の記憶を思い出す。みんなが一つになったあの時の最高の景色を。

こんな思い、私の勝手な我儘かな。だけど、私にはどうしてもハルが水泳を嫌いになったとは思えない。だって、あんなにも水が好きだったんだもの。簡単に突き放せるものじゃなかったはずだ。水が大好きなら、なんで自ら離れるような事をしたんだろう。私はそれが不思議でならなかった。

いろいろな複雑な思考が、私の心の中にモヤとなってあり続けた。


高校生になった今でも、相変わらずハルは水泳から遠い所にいる。そんなハルを心優しいマコも心配し続けている。明るくて前向きな凛君だったら、こんなハルを変えられるのかな。

どうしてあの時、水泳を辞めた理由を聞けなかったんだろう。私は結局ハルのことを何も知らないままだ。いいや、知ろうとしなかったのかもしれない。最近はそんな自分に対しての後悔の日々だ。

この時はまだ、ハルが突然水泳を辞めた理由が凛君に関わっているとも知らずに、ただモヤモヤした想いを抱えていた。

そんな私達の物語はここから紡がれていく。