グラウンド横の倉庫前。
夕日がオレンジ色に染める空の下、二人だけが残っている。
倉持は少し前に歩み寄り、なまえとの距離が自然と近くなる。
息が、かすかに重なる距離。風が二人の髪を揺らす。
「……あのよ、なまえ」
低くて少し震えた声。
なまえは胸の奥が熱くなるのを感じて、思わず息を呑んだ。
「……なに?」
答える声も、少し震えているのが自分でも分かる。
倉持の瞳は真剣そのもの。
「……俺、ずっと……お前のこと、好きだった」
時間が止まったみたいに、心臓がバクバク鳴る。
なまえは目を丸くして倉持を見つめる。
「……え、倉持くん……」
声が震えてしまう。
「おう……俺、はっきり言いたかった」
その言葉と一緒に、倉持がそっと手を伸ばす。
手のひらは温かくて、でも少し緊張しているのが伝わる。
なまえは一瞬ためらうけど、自然に手を重ねてしまった。
「……わたしも、ずっと……」
指先が絡まり、息が近づく。
「……なら、付き合おう」
倉持の笑顔は、昔の軽口とは違う、真剣で温かいもの。
その笑顔に、なまえも思わず笑う。
「うん、付き合おう」
夕暮れの光に包まれ、二人の手は離れない。
周りには誰もいないけど、世界が二人だけに縮まったような気がした。
倉持の胸の中で、なまえの頭がふわりと寄せられる。
「……やっと、言えた」
「……うん、聞けてよかった」
夕焼けのオレンジ色が、二人をそっと包む。
甘く、焦れったく、そして確かな――二人の恋の始まりだった。