あの事件から、桜木軍団は謹慎処分を受けて優と水戸は会えていなかった。
放課後、優が部活前の花道に声をかけられる。
「優サン、洋平が会いたいと言ってる。」
優は花道の言葉を胸に、公園まで小走りで向かう。
一歩足を踏み入れると、すでに水戸がベンチに座って待っていた。
「……来たな」
低く柔らかい声。クールなはずの水戸が、少しだけ微笑んでいる。
優の心臓は、いつもより早く跳ねる。
「ごめん、迷惑かけて」
「……迷惑なんて思ってねぇよ」
水戸の言葉に、優は少し胸があたたかくなる。
それから、少し間を置いて水戸が小さく呟く。
「……心配してた」
その声に、優は胸の奥がぎゅっとなる。
少しの沈黙。お互いの顔を見つめ合う時間。
手が触れそうで触れない距離。心臓の音だけが、二人の間を埋める。
優は笑いながら言う。
「……会えてよかった」
水戸は柔らかく笑い、少し意味深に視線を落とす。
「……俺も」
小さな距離、交わる視線――全部が優にとって特別な夏の一コマになる。