はじめての約束


夜。優は、おばあちゃんに頼まれた薬を買いにドラッグストアへ。
買い物カゴを手に取った時、スマホが震える。水戸からのメッセージだった。

『今なにしてる?』

(……ちょうど買い物中)と返信すると、すぐに着信が入る。
「どこの店?」
「えっ、○○ドラッグだけど……」
「待ってろ。すぐ行くから」

それだけ言って電話は切れた。

数分後、息を少し弾ませた水戸が店の入り口に現れる。
「……悪い、待たせたな」
「えっ、本当に来てくれたの?」
「当たり前だろ。夜に一人で歩くな」

買い物袋をひょいと奪い取り、並んで歩く帰り道。
優はふっと笑って、少し恥ずかしそうに言った。

「ありがとう……洋平くんって、優しいよね」

その瞬間、水戸の足が止まった。
夜風が吹く中、優の手をぐっと掴む。

「……誰にでも優しいって思ってる?」

驚いて目を見開く優。
水戸は視線を逸らさず、そのまま指を絡ませる。

「ここまでしたらわかるだろ。……オレは、お前が好きだ」

優は胸がいっぱいになって、涙がぽろりとこぼれた。

「……っ」
言葉にしようとするのに、声にならない。

水戸はそんな泣き顔を見て、一瞬きゅっと眉を寄せた。
「……他のやつに、そんな顔見せんな」

そう言って、買い物袋を片手に持ちながら、優の手を引いて人目のない路地へ。
夜風の音だけが響く静かな場所。
水戸は真正面から優を見つめ、真剣に言葉を落とした。

「……オレの彼女になってくれ」

涙でにじむ視界の中でも、彼の瞳はまっすぐで。
優は胸に手を当て、深く頷いた。

「……よろしくお願いします」

その瞬間、水戸の表情がふっと柔らかくなり、絡めた指先に力がこもった。

「もう、絶対離さねぇから」

夜道に溶けるような声で、誰よりも優しい約束を告げた。
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