寄り道しちゃったね


映画館からの帰り道、夜風がちょっと涼しくて……
優が小さな声で「あともうちょっと、一緒にいたいな」と言う。
水戸は一瞬きょとんとするけど、すぐに口角あげて「……ったく。しょうがねーな」って笑う。

ベンチに並んで座って、コンビニのアイスを食べながら話してる。
ふと静かになった瞬間、優が小さな声で。

「……こんなの、初めてなんだ」
「映画とか、公園とか……普通のデートってやつ」

水戸がちょっと笑って、でも真剣な目でこっちを見てくる。
「オレも。……こんな気持ち、優が初めてだよ」

その言葉に、胸がぎゅーっと熱くなって……。
「……じゃあ、初恋同士、だね?」
そう笑った優の手を、洋平がゆっくりと探す。

ふいに温もりが重なって、指先から心臓まで一気に熱くなる。
「これなら、もう離さないで済むな」
照れ隠しみたいに小声で言った洋平の横顔に、優の胸がまた高鳴る。

(ああ……本当に、洋平くんと恋人なんだ)

夜風が少し冷たいのに、その手の温かさはずっと消えなかった。

「家まで送る」そう言って公園を出ると別れを惜しむみたいに2人はゆっくり歩いていた。
優は胸の奥がくすぐったくて、でも言わなきゃって思った。

「……あのね、洋平くん」
「ん?」
水戸が少し首をかしげる。
優は思い切って顔を上げて、まっすぐ彼を見つめた。

「わたしも……洋平くんが好き」

一瞬、時が止まったように静まり返る。
驚いたように目を見開いた水戸は、ふっと笑みを零して、少し照れたように頭をかく。

「……っ、やっと言ったな」

安心したような、でも嬉しさを隠しきれない笑顔。
優は真っ赤になりながらも、その笑顔が大好きだって改めて思った。
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