その日の夜
お風呂から上がったあと、スマホが震える。
画面には「洋平くん」からのメッセージ。
「今日は楽しかったな。ありがとな」
優の心臓がどきんと鳴る。
急いで返信する。
「こちらこそありがとう。映画すごくよかったし……何より洋平くんと一緒で安心できたよ」
少し間を置いて、既読がつく。
そしてすぐに返事が。
「俺も。同じ気持ち」
胸がじんわり温かくなる。
するとさらに、もう一通。
「なぁ、明日の朝さ、一緒に学校行こうぜ」
優は一瞬、目を丸くする。
(えっ、洋平くんと一緒に……登校!?)
頬を熱くしながら震える指で返信。
「……うん!一緒に行きたい」
すぐに返ってくる短いメッセージ。
「決まりだな。じゃあ、おやすみ」
胸の奥が甘くしびれるように熱くなりながら、優もスマホを握りしめて。
「おやすみ、洋平くん」
その夜は、なかなか眠れなかった。
優が家を出ると、少し離れた電柱のそばに水戸の姿があった。
制服のポケットに手を突っ込みながら、こっちを見つけて小さく手を上げる。
「……おはよ」
「おはよう、洋平くん……!」
(本当に待っててくれたんだ……!)
胸がじんわり温かくなる。
「なんかさ、こうやって迎えに行くの初めてで、ちょっと緊張すんだよな」
そう言って少し照れる水戸。
優は思わず笑って、けれど胸がいっぱいで。
「私も……嬉しい。なんか、夢みたい」
ふいに水戸が、すっと手を差し出す。
「……行くか」
優は少し迷って、それでも小さく頷きながらその手を握る。
指が絡んだ瞬間、互いの顔が一瞬赤くなった。
まだ朝の街は静かで、通りすぎる小学生たちがちらっと見てくるのも気にならない。
二人にとっては、世界が少し特別に見える朝だった。
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