放課後の教室。
窓から差し込む夕陽が、優の横顔を照らす。
沈みゆく光に照らされるその姿が、まるで夢みたいで――水戸は思わず見とれていた。
「……どうしたの?」
視線に気づいた優が小首をかしげる。
「……いや」
答えずに手を伸ばし、柔らかい髪を指にからめるように撫でる。
触れた瞬間、彼女の頬が赤く染まるのを見て、水戸の心臓が大きく跳ねた。
「……こういうの、俺しかやりたくねぇんだけど」
少し掠れた声が、教室の静けさに溶ける。
「……誰にもさせないよ」
その答えに、一瞬呼吸が止まる。
「……ほんとに? 本気で言ってんだよな」
水戸はぐっと距離を詰め、真剣な目で覗き込む。
「優はもう、俺のなんだから」
熱を帯びた声音に、優は胸が苦しくなるほど高鳴りを感じた。
必死に笑おうとして――
「……あ、でも美容師さんはさすがに……!」
と付け足すと、水戸は苦笑しながら額を軽くコツンと合わせてくる。
「……そういう可愛いとこ、俺以外に見せんなよ」
低く囁かれ、優の胸の奥に甘い痺れが走った。
夕陽がゆっくりと沈む教室で、二人の距離はもう、戻れないくらい近づいていた。