その笑顔に、なぜか胸がドンと鳴る。
昼休みの校庭。
花道のバスケの練習を遠巻きに見ていると、ひときわ大きな声が響いた。
「ハルコさーーん!!見ててください!!」
花道が全力でシュートを放つ。けれど、ボールはリングにかすりもせず、無情に跳ね返った。
それでも彼はめげることなく、真っ赤な顔で走り回り、次の一投に全てを賭けている。
――可愛いな。
気づいたら口にしていた。
「花道くん、ほんと真っ直ぐだね。あんなに好きって顔に出ちゃってるの、可愛い」
横にいた水戸くんが、ぴたりと動きを止める。
「……は?」
花道の「ハルコさーん!」を見て笑う優に、水戸は少し首を傾げた。
「そんなに面白いか?」
「うん。だってあんなに真っ直ぐに人を好きになれるなんて、すごいなって思って」
「それでバスケ始めちゃうなんて本当にすごいよね」優の声はどこか憧れを含んでいて、水戸は言葉を失った。
ほんの数秒の沈黙のあと、彼は小さく笑いながら呟く。
「……あんたって、本当真っ直ぐなんだな」
その言葉が、胸の奥に熱を残した。
優は返事ができず、ただ照れ隠しのように笑うしかなかった。
何気ない会話のはずなのに。
たったそれだけで――互いの距離は、ほんの少し近づいていた。
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