下校の帰り道


放課後の帰り道、二人は自然と並んで歩いていた。
夕暮れが校庭をオレンジ色に染め、蝉の声が遠くから聞こえる。
風は少し涼しく、心地よくて、でも胸の奥は妙にそわそわしていた。
「今日、花道くんまた変なことしてた?」
優が軽く笑いながら聞くと、水戸くんも肩を小さく揺らして笑った。
道が少し狭くなった瞬間、優の肩にそっと水戸くんの肩が触れる。
優は思わず小さく息を呑み、肩が熱くなるのを感じた。
水戸くんは何事もなかったかのように前を向いて歩く。
でもほんの少し目が合った瞬間、胸がきゅんと跳ねたのを感じていた。
「……なぁ、赤星さん」
「なに?」
「……そのうちさ、名前で呼んで欲しいんだけど」
優は一瞬固まって、返事の代わりに笑ってごまかす。
けれど心臓は妙に早く跳ね、ほんのり頬が赤くなっていた。
水戸くんはそれを見逃さなかった。
決して流されたわけじゃない――優の顔が真っ赤なのを見れば、それは一目瞭然だった。
小さな沈黙のあと、二人はまた自然に歩き出す。
さりげない距離感のまま、でも確かに、二人の間には何かが芽生えていた。
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