うまれた絆


体育館に重い音が響いた。
バスケ部に顔を出していた優は、偶然その場面を目撃することになった。

桜木花道と、見知らぬ上級生が始めは1on1をしていたのだが、次第にぶつかり合い、拳を交え始める。
あまりに激しい衝突に、優は思わず声を上げそうになった。

「はな――」

その腕を横から押さえたのは、水戸だった。
「……巻き込まれんな」
低く落ち着いた声。
でも、その手に込められた力は、優を止めるには十分すぎた。

乱闘は晴子の兄のキャプテン・赤木が割って入り、どうにか収まった。
喧嘩相手の2年生――宮城リョータ。
小柄だが、ただ者じゃない鋭さを持つ先輩。

その後の部活も何かと小競り合いを起こしていた……



翌日。
花道と宮城は――あんなに殴り合ったのが嘘のように、肩を並べて笑っていた。
男子の切り替えの早さに、優は思わず吹き出す。

「ほんと、不思議。あんな喧嘩したのにね」

体育館に現れた女子マネージャー・彩子へ、宮城が飛びつくように駆けていくのを見て、優は目を丸くした。

(……これって完全に恋じゃん!)

人のために全力になれる気持ち。
それがバスケをもっと強くするんだ――自然にそう思えた。

横でその表情を見ていた水戸は、ふっと笑って言った。
「……優って、ホント人のことよく見てんな」

その声は柔らかいけど、心の奥には別の感情が沈んでいた。
――優が花道を見て笑うたび、自分の中で小さな棘が動く。
理由は分からない。ただ、胸が落ち着かない。

「え? そ、そうかな……」
照れてごまかす優に、水戸はそれ以上何も言わなかった。

けれど、その横顔を見て、心の中でひとりごちる。
(……やっぱ俺、モヤってんな)
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