うまれた絆
体育館に重い音が響いた。
バスケ部に顔を出していた優は、偶然その場面を目撃することになった。
桜木花道と、見知らぬ上級生が始めは1on1をしていたのだが、次第にぶつかり合い、拳を交え始める。
あまりに激しい衝突に、優は思わず声を上げそうになった。
「はな――」
その腕を横から押さえたのは、水戸だった。
「……巻き込まれんな」
低く落ち着いた声。
でも、その手に込められた力は、優を止めるには十分すぎた。
乱闘は晴子の兄のキャプテン・赤木が割って入り、どうにか収まった。
喧嘩相手の2年生――宮城リョータ。
小柄だが、ただ者じゃない鋭さを持つ先輩。
その後の部活も何かと小競り合いを起こしていた……
*
翌日。
花道と宮城は――あんなに殴り合ったのが嘘のように、肩を並べて笑っていた。
男子の切り替えの早さに、優は思わず吹き出す。
「ほんと、不思議。あんな喧嘩したのにね」
体育館に現れた女子マネージャー・彩子へ、宮城が飛びつくように駆けていくのを見て、優は目を丸くした。
(……これって完全に恋じゃん!)
人のために全力になれる気持ち。
それがバスケをもっと強くするんだ――自然にそう思えた。
横でその表情を見ていた水戸は、ふっと笑って言った。
「……優って、ホント人のことよく見てんな」
その声は柔らかいけど、心の奥には別の感情が沈んでいた。
――優が花道を見て笑うたび、自分の中で小さな棘が動く。
理由は分からない。ただ、胸が落ち着かない。
「え? そ、そうかな……」
照れてごまかす優に、水戸はそれ以上何も言わなかった。
けれど、その横顔を見て、心の中でひとりごちる。
(……やっぱ俺、モヤってんな)
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