ときめく恋色ソーダ
午後の練習が終わり、グラウンドに残る選手たちも少なくなった頃、降谷暁は静かになまえの方へ歩み寄った。
「……みょうじ先輩、今日、帰るところまで……送ります」
その言葉に、なまえは少し驚いたけれど、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
「え、ええ……でも大丈夫ですけど……」
まだ照れくさい声で答えるなまえに、降谷はにっこり笑う。普段は無表情に近い彼の笑顔は、なまえだけに見せる特別なもの。
「大丈夫じゃないです。先輩がちゃんと帰るところまで、見届けないと」
そこへ、3年生の伊佐敷や小湊が近づいてきて、肩を組みながら囁く。
「いいじゃん、送ってもらえよ」
「先輩、今日は降谷に任せちゃえ」
なまえは少し照れ笑いをしながら頷く。
二人で校門を出ると、夕暮れの空に長い影が落ちる。降谷はそっとなまえの歩幅に合わせて歩き、時折手を軽く肩に触れたり、距離を詰めて守るように歩く。
「……先輩、疲れてませんか?」
「少しだけ……でも、こうして一緒に歩いてると平気です」
降谷の無口さと真剣さが入り混じったその声に、なまえの胸はキュンとする。
ふと、彼の横顔を見ると、照れ隠しなのか少し俯きながらも、確かに優しい視線を自分に向けている。
「……帰り道、ちょっと寄り道してもいいですか?」
降谷の提案に、なまえはにっこり頷く。彼と過ごす何気ない時間が、いつの間にか特別に思えていた。
グラウンドでの汗と夕日の匂い、二人きりの帰り道の静けさ――
小さな心のときめきが、なまえの胸をいっぱいに満たす。