◇39
ばーちゃんが言っていた。
どんな時もお世話になった人への礼節を欠いてはいけない、と。
そういうことで今日の家事当番を片付け、お借りした寝室も綺麗に掃除を済ませてからゼブロさん達に別れを告げた私達。もちろんすんなりキルアのいる屋敷へたどり着けたかというとそんなわけもなく、執事見習いのカナリアさんと色々あったり、そのあと案内された執事達のお屋敷ではゴトーさんから盛大な「おもてなし」を受けたりしたのだけれど、どうにかこうにかキルアと再会を果たすことができた。
「ゴン!!あとえーっと、クラピカ!!リオレオ!!それから……だれだっけ?」
にやにやしながら私を指さしてとぼけるキルア。そこにいたのは初めてドーレの港で会った時と同じ、ちょっと生意気な等身大の男の子の姿で。
「きるあ〜っ!」
最終試験会場から出ていく痛々しい後ろ姿を最後に見ていただけに、光の宿った瞳でいたずらっぽく笑うキルアが眩しくて、私は胸がいっぱいになってしまった。
「キルア元気だったぁ〜〜?!」
「うわっ、やめろよなまえ!」
「ふふん!ちゃーんと覚えてんじゃん、私の名前っ!」
出会い頭に思わずぎゅーっとキルアを抱き締めたら、相変わらず綿毛みたいなふわふわの頭を振ってキルアは腕の中でじたばた抵抗した。
ガキ扱いすんな!と何度も聞いたセリフと共にすぐ引きはがされてしまったけど、すっとぼけた名前をすぐ呼んじゃうあたりがまだまだお子ちゃまだってのよ!
「早速だけど出発しよーぜ。とにかくどこでもいいから。ここにいるとおふくろがうるせーからさ」
キルアの先導で屋敷を出て、世間話をしながら来た道を戻る。
ククルーマウンテンを下山するまでの長いようで短い道のり。これが、私達5人での旅の締めくくりになった。
***
ハンター試験が終わり、不本意に別れてしまったキルアとももう一度会えた。
一旦区切りの付いた私達はふもとの街に着くと、それぞれの夢や目的のため別れることにした。
9月1日、ヨークシンシティでまた会うことを約束して。
「キルアもゴンも元気でね」
「なまえもね!」
お見送りをしてくれたキルアとゴンに手を振って、空港の奥へと移動する。
これからゴンは、試験中ヒソカから渡されたプレートを顔面パンチのおまけつきで返すためにがんばるそうだ。キルアはゴンに付いて行くと言っていた。
「2人とも達者で」
「また9月にね。クラピカ」
「ああ」
クラピカはハンターとして仕事をするための雇い主を探すらしい。
クラピカの仇である幻影旅団。その手がかりがあるヨークシンシティのオークションへ参加する彼は、ツテや費用など準備することがたくさんあるのだ。
クラピカの乗った飛行船が飛び立つと、たちまち空港には私とレオリオの2人だけになってしまった。