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私の住んでいる山麓から林を抜け、一本道をしばらく歩けばドーレの港町に着く。
ハンター試験を受けるには『ザバン市のどこか』にある会場へ行かなくちゃいけない。バッグを背負い直し、住宅街を突っ切り港の方角へ向かう。お目当ては船着き場にある大きな地図だ。十数分も歩けば、キラキラ輝く水平線が目に飛び込んできた。
この港町には食料品や日用品の買い出しで週に1回程訪れるけれど、今日の船着き場は普段と比べものにならないほど人でごった返している。
次々入港する船から降りてくるのは大半が男の人。みんな武器を背負っていたり、何かの武道服を着ていたり。おそらく試験を受けにきたハンター志望者たちが、ザバン地区から一番近いこの港に集まっているんだろう。
人混みをぐいぐいかき分けて、なんとか地図の看板までたどり着く。
えーと、ザバン。ザバン市。
――〈ザバン直行便。間もなく発車します〉
ザバン直行便!
地図を目で辿っていた私の背後で、淡々としたアナウンスがクラクションと共に耳へ入り込んでくる。
振り向いた先に見えたのは、すぐ先の停留所で我先にと人が群がるぎゅうぎゅうのバス。と、順番を待つ大行列。列をなす顔ぶれは、近隣の住民とはまるで違う雰囲気の人たちばかりだ。
「まー、おあつらえ向きよね」
志望者にとっては。なんて考えながら地図看板を離れ、順番待ちのイカツい列を遡ってゆく。
もちろん最後尾に並ぶため……じゃない。この先にある船舶管理局へザバン市へのルートを直接確認するためだ。教えてくれるかは分からないけど、このバスに乗るよりはマシな気がする。
だって、週に1回程この港に来てる私が、ザバン行きの直行バスなんて今までに見たことも聞いたこともないんだから。
こんなの絶対罠に決まってる!