デカい式場押さえるくらいの甲斐性はオレにだってあるさA
早朝の澄んだ風が足元に生えた草を撫でる。
それをざくざくと踏みしめ、教会の裏手に回ったところで遠くから軽い足音が近づいてきた。
「おはようございます」
やってきたのは式のプランナーを務めてくれている女性だった。
「あっ、今日はよろしくお願いします!」
なまえが元気よく頭を下げると、彼女はにこやかに目を細めた。
「お支度の準備ができております。控室までご案内しますね」
「はーい!」
足取り軽く歩いていくなまえがこちらを振り返る。
「レオリオ?」
「これ、吸い終わったらすぐ行くわ」
「じゃーあとでね」
二人の後ろ姿を見送ってから、オレは立ち並ぶ十字架の間をゆっくりと歩いた。そしてその中の一つ——ピエトロの墓の前でしゃがみこんだ。
なあ、ピエトロ。
お前ばかり幸せになって、とお前はオレを咎めるか?
いい女引っ掛けて狡いと、いや。それはねえか。だってお前は女のシュミがオレと……同じだったもんな。
連れて歩くならオッパイのでけえエロい女がいい、なんて昔は盛り上がってたっけ。おかしいだろ?結局オレが惚れ込んだのはあの時の理想と似ても似つかない普通の女だったよ。
可愛くて、危なっかしくてほっとけない。普通の女だ。
なまえとなら、生涯共に夢を追えるとオレは確信している。
お前を助けてやれなかったオレの言葉なんざ聞き届けてもらえるか分からないが、今日この場所を選んだなまえのためにも今だけは。できればオレ達を祝ってくれないか?
「悪いが、ちょっと騒がしくするぜ――これは迷惑料だ」
残りのタバコを墓前に供えて、オレは静かに立ち上がった。
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