ドキドキ友人代表スピーチ開始?! A
その後しばらく外で待っていると今度は続々と人が集まり始め、ついに式が始まった。
結婚式って、本人達は結構忙しいのな。
教会の中で指輪の交換とかをして外の披露宴会場に移ったけど、レオリオもなまえも挨拶やケーキ入刀でゆっくり座る暇もない。
ようやく新郎新婦の席に腰を落ち着けた2人は、これまで絶やさなかった幸せそうな笑顔を一瞬だけ寂しげに曇らせた。テーブルに目を向けた時だ。オレは見逃さなかった。
2人の前に置かれたテーブルの上にはさっきの大きなアジサイのブーケと、龍かトカゲのような不思議な形の金細工に青い石がはめ込まれたエスニックなペンダントが置かれている。おそらくあれがブーケと共に贈られた小箱の中身だ。
そしてこれらは、ゴンの正面——つまりオレの斜め前にぽっかりと空いた、唯一の空席と関係しているのだろう。
――これよりお祝いのスピーチを届けてくださいますのは、新郎新婦のご友人のお二人です。どうぞ皆様、拍手でお迎えください!
「げっ」
ぼんやりレオリオとなまえの様子を見ているうちに余興は瞬く間に終わり、オレにとって一番の山場がやってきた。
「アドリブはナシだからなゴン」
「……分かったよキルア」
司会のアナウンスに促され、オレとゴンはレオリオ達の横に置いてあるマイクの前へと立つ。
まずは主役へ視線を送った。ニコニコ頬杖を付くレオリオとちっちゃく手を振るなまえがこちらを見ている。
次に正面を向き、2列に並ぶゲスト席へ目を向ける。
ほとんど見知った顔ぶれを見渡す中、偶然目が合ってしまったのはピンクのドレス。
レオリオ達とはまるで違う、何か期待ありげな笑顔を浮かべているビスケだった。
ぜってー失敗できねー!
もしここでろくでもないミスをやらかせば、オレがゴンへ言った言葉が現実になってしまう。全員勢揃いの前でいじられネタ提供なんてまっぴらごめんだ。
妙な緊張にかられながらゴンとアイコンタクトをしてスピーチ原稿の紙を開いた。
まずはゴンからだ。
「えーと、ただいまご紹介にあ……」
頼むぜゴン。そう思った矢先、どこか遠くに視線を向けたまま突然ゴンがフリーズしてしまった。
「あ……!」
「おいどうした」
アドリブはなしっつっただろ!
おもむろに伸ばされたゴンの指が、街と教会を結ぶ石畳の坂道を指し示す。
視線と指先を辿った先には、坂の終着点に生えた木の影に紛れ、誰かが立っていた。
黒いスーツを着た、細身の男。
ゴンの大きな声が岬にこだまする。
「あ!!クラピカ!!」
「クラピカぁ?!」
おー。息ぴったり。
って感じで、ゴンの声に反応してレオリオとなまえも同時に立ち上がった。
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