意外性も取り柄の一つ





「ナツ!落とすよ?」
「いいぞ、ハッピー!」

ふわっ


パーティーが行われている船の上空でそんな会話をして、落としてもらう。
ハッピーは猫だけど、魔法で羽を出すことができる。そして空を飛ぶことが出来るのだ。


真っ逆さまに落ちながら、海に浮かぶ船を見つめる。
段々と船との距離が近づいてきたので、炎を出す準備をする。

バキッ!!!

そして、船についている建物の天井を思いっきり突き破り、着地した。

「ナツ!」
「……」

目の前には都合がいいことに、昼間の自称サラマンダーが居る。
ラッキーだと思いながら、自称サラマンダーとその周りにいる男達を睨みつけた。そして戦闘態勢に入ろうとした時、問題が発生する。

「う、うぷ。駄目だ…やっぱ無理」
「えーーっ!!?かっこわるーー!!」

そうココは船の上だ。
つまり、酔ってしまうわけで…、壁に手をついて吐き気を我慢する。
そんなこんなしていると、ハッピーがご飯を奢ってくれたルーシィを連れて船の外へと飛んでいった。

「はぁ、はぁ…」

そうだった。こんなことをしている暇はない。
自分はこいつらに聞きたいことが山ほどあるのだ。

「フェア…リィ…」
「あ?」
「…テイル…おま、え…が」

途切れ途切れに言葉を紡ぎながら、もう1度ヤツらを睨みつけた。
船酔いを我慢しつつ、立ち上がろうとしたその時……、


ドォォン!!!


「…っ!?」
「うわっ!!」
「なっ!」

突然船が大きく揺れたかと思うと、物凄い音が響く。
そしてそのすぐあとにやって来る浮遊感。そう、まるで船が飛んでいるかのような…。

「うえっ…」

その揺れにも若干酔ってしまい、目を回す。が、それどころではない。
すぐにその揺れもおさまった。



「…止まった」
「!」
「揺れが止まった」

そう呟いて、ふらふらと立ち上がる。
揺れさえなければこっちのものだ。


「ナツーー!!だいじょ…」


船内の扉を開けてそういったのはルーシィだ。が、今はそれに構っている暇はない。

「小僧…。人の船に勝手に乗ってきちゃイカンだろぉ?あ?」

自称サラマンダーのその言葉を無視して、上着を脱ぐ。

「オイ!さっさとつまみ出せ」
「はっ!!」

どうやら敵さんもやる気のようだ。


「いけないここは…!」
「大丈夫」
「!」
「言いそびれたけどナツ魔導士だから」
「えーーっ!!?」

ここはあたしが、と言おうとしたルーシィの言葉を遮り、ハッピーはそう言った。それに驚きながらルーシィはナツの方を見る。
上着を脱いで投げ捨てたナツの体つきはあまりに華奢で不安になる。
だって相手は明らかに体格の大きな筋骨隆々の男達だ。
しかし、ナツはそれに怯むことなく言葉を紡いだ。


「お前がフェアリーテイルの魔道士か?」
「それがどうした?」
「よくツラを見せろ」


2人の男達が小走りで近づいてきている中、静かにそう言ったナツ。
ニヤニヤとしながら、男達の後ろでそれに答えた自称サラマンダー。
2人の男達が目の前に来た瞬間、ナツは素早くその男達を投げ飛ばした。


「オレはフェアリーテイルのナツだ!!!おめェなんか見た事ねぇ!!!」


そう言いながら。

「な!!!」
「え?」

それに驚いたのは自称サラマンダーだけではない。ルーシィもだ。

「フェアリーテイル!!?ナツがフェアリーテイルの魔導士!!?」

ルーシィは驚きのあまり声を上げる。
まさかナツが魔導士、しかもあのフェアリーテイルの魔導士だということなど全く予想すらしていなかった。
開いた口が塞がらない。


「な…!あの紋章!」
「本物だぜ!ボラさん!」
「ば、ばか!その名で呼ぶな」

ナツの肩のところにあるフェアリーテイルの紋章を見て男達は慌てたように声を上げる。


「ボラ…、紅天(プロミネンス)のボラ。数年前に"巨人の鼻(タイタンノーズ)"っていう魔道士ギルドから追放されたやつだね」
「聞いたことある。魔法で盗みを繰り返して追放されたって」

そんなハッピーとルーシィの会話が聞こえているのか、いないのか、


「おめェが悪党だろうが善人だろうが、知ったことじゃねぇが、フェアリーテイルを騙るのは許さねぇ」

そう言ったナツにボラは、

「ええい!ゴチャゴチャうるせぇガキだ!」

そう言ってナツに向けて炎を放った。

「ナツ!!!」

その光景を見て前に出そうになったルーシィをハッピーが制す。
ルーシィは心配そうに炎の中にいるナツを見ていた。
ボラは、フンと鼻を鳴らしながら決まったとばかりに笑みを浮かべ、炎に焼かれ倒れている光景を見つめる。

しかし、


「まずい」


炎の中から聞こえた声に冷や汗を浮かべた。そして、炎を纏ったまま立ち上がったナツを見て、みな驚きの声をあげる。
そして、次に目に入った光景に固まった。


「何だこれ…。おまえ本当に炎の魔道士か?こんなまずい"火"は初めてだ」

もぐもぐ、がぶがぶと"火"を食べている。
まるで綿菓子か何かのように…。


「ふーー。ごちそうさまでした」

そう言って、無傷で立っているナツの姿にルーシィはホッと胸をなで下ろした。


(意外性も取り柄の一つ)
(特技は火を食べること、とか言ってみる)



星の唄聲が聴こえない