あまいあまい恋だから
私があなたと初めて顔を合わせたのは、まだ私が青く勉学に興味もなく努力とい う言葉を知らなかった頃でした。その頃の私は、勉強が苦手で特に理系はとことんダメでした。今思うと恐らく私 には理系センスが備わっていなかったのでしょう。そんな苦手なものに手をつけ ず遊び呆けていた私に呆れた父は知り合いを回っては私に勉強を教えてくださる 方を探し回って下さってました。
白羽が立ったのはあなたでした。 私の父と同じ教師だったあなたのお父様に紹介 され、私と顔を合わせたあなた。あなたは初めてあった私に向かっててめぇが噂の馬鹿女か?っとふてぶてしく聞いてきたのです。勿論、その時隣にいたあなたのお父様は目を丸くしてあなたの白菜を叩きました。
私にとっては強すぎる衝撃でした。だって父や母以外にそんなはっきりバカだなんて言われたことがなかったんですもの。その頃の私は怒りに燃えました。なんてこというの、なんて幼い私は顔を真っ赤にしてあなたへと刃向かいました。ところが愚かな私に対してあなたは顔色ひとつ変えずに私にひとつ、問いかけま した。宇宙は何で出来ているか分かるか、と。無論、馬鹿な私がわかるはずはありませんでした。それに加え、その頃の私はお姫様やらお星様やら夢に溢れた少 女でしたので、私はなんと!炭酸飲料であるソーダだなんて言ったのです。 あなたはその時初めて表情を変えました目を丸くした途端、ぶはっと吹き出す ように笑ったのです。その時私はこんなに真面目に考えたのにどうして笑うの、 と思ったのは今だから言えるちょっとした裏話であります。 そして一通り笑い終えたあなたは私の額を突き仰いました。
「宇宙は、約4%はバリオン・・・まぁ、分かりやすく言うと俺らや星を作っ てる物質なんで約23%のダークマター、約73%のダークエネルギーから構 成されていると言われてんだ。」
私の瞳には、無敵に笑うあなたの赤くて真っ赤に轟轟燃えた炎のような瞳が映っ
熱い炎に充てられた私はオウムのようにあなたが発した単語を口にした。
「だーくまたー・・・?だーくえねるぎ!?」
目を丸くしては首を傾げる私にあなたは不敵に笑う。
「ククク ・ダークマター、ダークエネルギーも今はある1種の机上の空論みてーなもんだ。そーだよな、そこが問題だ。今の化学じゃダークマターやらダークエネルギーやらなんやらまだまだ分かんねぇ事。俺は、宇宙に行く。んで、 ダークマターもダークエネルギーも、解明してやるんだ。こりゃ・・・唆るぜ。」
思わず、口を塞いだ。正直に言うと彼の言ってることは全く、そりゃあもう全然 分からなかった。
でも、私は確かに彼の熱を感じたのだ。暑くて、熱くて、まるで私なんか熱に当 てられたチョコレートのように溶けていく気がした。
あぁ、素敵だ。この感情を私はなんて言うのか分からなかった。いや、そんなこ とすら気にしていなかったのだ。それほどまでに私は彼の炎の如し、燃えたぎる ガーネットに惹かれてしまったのだ。
その日わたしは、 石神千空に恋をした。
「千空、千空。ここがとてもじゃないけど分からないの。教えてちょうだい?」
黙々と脳と手を動かす彼の裾を掴む。
「あ?あー、ここはな、」
彼に向かって私は微笑んだ。 あなたはきっと知らないのでしょうね。私があなたに煮えたぎるようにあまいあまい恋を抱いているなんて。