「オムライス美味しかったですね!」
「あぁ」
ちょっと遅くなったお昼に魈さんと一緒にオムライスを食べて、魈さんの家に帰ってきて持ってきたものを片付けていたりしたらもうすぐ夕方になってしまった。魈さんの家のちょっと硬めのマットレスに横になって、テーブルで帰り際にコンビニで買っていた杏仁豆腐を食べている魈さんに声を掛ける。さっき一緒にオムライス食べたのにまだ入るのか……と思ったが、魈さん的にはオムライスはお気に召しただろうか。
何を頼むのかとメニューに目を通す魈さんをわくわくしながら眺めていたが、結局私と同じものを選んだ時はびっくりした。言ってくれれば一口あげたのに、と店員さんが去ったテーブルでこっそり言うと、魈さんはなんでも良かったから同じものにした、と当然のような顔で行ってきた。
店員さんが運んできてくれた、デミグラスソースが掛かったバターとメレンゲたっぷりでふわふわに仕立てあげられたそれを口にするなり「重い」と言い出した時はまさか食べきれないんじゃと冷や汗をかいたが、現にいま杏仁豆腐を食べているし私がオムライスを食べ切るより早く平らげていた。魈さんって意外とよく食べる。細そうな体のどこに食べ物がいくのかと思いたいが、脱ぐと無駄なくついたしなやかな筋肉に食べ物が吸われているのは明らか。運動してるからだろうけど、太らないのいいなあ……うーん、でもあのオムライスは美味しかった。最寄り駅のお店だけど、今まで食べたことなかった。また食べたいなあ。今度は魈さんの好きなものを注文してほしいし、あわよくば一口ほしい。
ぐるぐると緩く頭を回して思考の渦に呑まれていると、ちょうど良い満腹感も相まって心地の良い睡魔が顔を覗かせる。網戸にしたベランダから爽やかな風が吹いてきて頬を撫でる感覚に、ゆっくりと目を閉じると潜るように意識がとぷりと落ちていった。