02
いつ見ても見栄えのしない通学路に学生は私しかいない、まあ遅刻しているので当たり前といえば当たり前だ
音楽を聴きながら丁字路を曲がったところで何かにぶつかった、否、誰かに、ぶつかって私は尻もちをついてしまった
「痛い」
「すまんばい、怪我はなか?」
千歳だった、同じ学校で同じ学年の千歳という馬鹿みたいにでかい男にぶつかったのか、吹き飛ばされるのも当たり前だ
私はこいつを前々から知っていた、同じ学年というのもあるけれど一番の理由は違う、私と同じ遅刻常習犯だからだ
千歳の場合は遅刻というより放浪だから学校に来ない日も多い、その点私は遅れても学校には行っているので偉いと思う、褒めてもいいのよ
それと知っている理由はもう一つあった、方言だ、千歳は大阪弁とは違う九州の方の方言を使っている、確か出身が九州の方だって聞いたことがある
私も大阪出身じゃないから四天宝寺で関西弁を使っていない生徒は私と千歳だけだ、それで印象が強く残っているのだ
千歳が左手を伸ばしてきたので少し戸惑いながらもその手を取って立ち上がる
「別に、私も注意不足だった、し……?」
なぜか握った手が離れない、千歳を見れば私を見て固まっていた、というより驚いていたというのが正しいだろう
「え、なに」
「だいかと思えば名字じゃなかか」
「……」
どうやら千歳も私のことを知っているらしい、まあ同じ遅刻常習犯として知っているのだろう、それでも千歳が私のことを知っているという事実が不思議だった
私が首をかしげているからか千歳は私の名前を間違えたと勘違いしているのか、不安げな顔をした
「名字やけんね?」
「あ、うん、そうだけど、何で知ってるの?」
「そりゃミス四天宝寺やけん、有名ばい」
「そうですか」
そうなんです、なぜか不本意的にミス四天宝寺なんてものに二年間なっているんです、今私は三年生なのだが今年の木下藤吉郎祭はまだなので現在のミス四天宝寺は私なのだ
千歳が私のことを知っていたということにちょっと期待してしまった私の馬鹿野郎
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