04

「ん……、今、何時?」
「おはようたい、むぞらしか寝顔だったばい」
「むぞらし? なにそれ……?」

 九州の言葉は分からんから、と眠気眼で言えば千歳が笑った、顔を上げれば千歳がいて、顔が近いなあと思いつつもそれほど動じない私は凄いと思う
 日差しは寝る前より強くてちょうど真上あたりにあったのでお昼ごろかな、と働かない頭で理解した

「熊本弁で可愛いってこつばい」
「私可愛くないし……、千歳の方がめんこい」

 ニコニコ笑う千歳に思わず言ってしまって、でも頭の片隅でまあいっかと思っている私もいた
 そうしたら今度は千歳が首をかしげる番だった、千歳は私の言った言葉の意味が理解できなかったのだろう、きょとんとしている、その顔もまためんこい

「め、めん、こい?」
「北海道弁で可愛いって意味」
「北海道弁って、名字は北海道ば住んでたど?」
「うん、中学上がるときにこっちに来たの」

 うん、懐かしいな、私は生まれも育ちも北海道だった、中学校も北海道の学校に行くと思っていたが親の都合で大阪に引っ越さなければいけなくなった
 最初は嫌だった、生まれ育った土地を離れて内地に行くのは心細かった、だけど大阪の人はよそ者を快く受け入れてくれる人が多くて安心した
 私は友達は多いほうだと思う、今のクラスにも一年の頃から仲のいい人がいる、椿とか白石とか、そのあたりの人とは仲がいいと思う、ありがたい話だよ

「なあ、方言ば使わんと?」
「……北海道弁は田舎っぽくて使ってない」
「何か喋ってみんね?」

何か喋れっていきなり言われても困る、何を喋っていいのか分からない
 とりあえず方言いっぱいの方がいいのかな、と思いつつ懐かしい大地を思い出す、と言っても私の住んでいたところは北海道の中でも結構都会だったな

「千歳とは今日初めて喋ったけどあずましいべさ」
「あずましい? べさ?」

 自分で喋れって言ったくせに頭に疑問符浮かべるなよ、そう思いつつもまあ方言は無理も無いか
 あずましいは北海道弁で落ち着くとか心地良いとかそういう意味だよ、そう言ってやれば嬉しそうに笑った
 ちなみにべさはただの語尾みたいなものなのであまり気にしなくてもいい


※椿:ヒロインの友達



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